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ようこそ

 投稿者:櫻子  投稿日:2010年 7月19日(月)15時06分16秒
  投稿していただいた作品を集めております。
ごゆっくりどうぞ。
 
 

目 次

 投稿者:小説家志望集まれ  投稿日:2008年 9月12日(金)23時14分31秒
編集済
 



花車さんがやってきた 瓜子姫

都をどり異聞      夜霧         雨の夜の幻影             H・G

氷が溶けるまで     石田香乃       縁カウンター             紙羽次郎

発掘(1~4)     カーベディエム    発掘(5~9)           カーベディエム

発掘(9~16)    カーベディエム    発掘(17~完)         カーベディエム

調書(1~4)     enigman        調書(5~完)           enigman

桜の木の下で      羽柴蝶         セカンドラブ             瓜子姫

本気の恋        羽柴蝶        揺れる想いの果て         羽柴蝶

夢のカケラ       凛           きみのトナリ             凛

マリン・ノート      凛           Memoly           凛

お隣さん         凛           幼なじみ                 羽柴蝶

太一と蛇             櫻子          ラブレター              櫻子

難病               櫻子          寿司折                 櫻子

                櫻子                             櫻子

weird characters(文字化け)Jirou Kamiu

ローズ・スキンの女            ぼらーこ@ユニセックス

毛虫の目                遊蛾射 妙法院芳秀

真夏のサンダル             あき竹城 櫻子 妙法院芳秀 ルナール

樹 海              妙法院芳秀 櫻子 あき竹城 サイド




 

花車さんがやってきた

 投稿者:瓜子姫  投稿日:2008年 9月12日(金)06時03分16秒
編集済
 

「生きているって、新しい経験の積み重ねだと思うのです。見ず知らずの者同士が気を使い合って生活を始めても、運が良ければ打ち解けあって、よりよい未来に繋げていけるのでは」


 ルームシェア内覧希望者の娘さんの前で、私はシェアメイト募集の理由を熱っぽく語った。いかにも好奇心旺盛で苦労知らずの私らしい甘い考えだと思う。もし同居する人に裏切られたら、私は人間不信に陥ってしまうかもしれない。 でもそんな取り越し苦労はしない、失敗をして傷ついたのなら、それはその時になってから考えよう。当たるか外れるかの、人生は賭けのようなものだとも思う。


 するとそれまで黙って私の話に耳傾けていた見ず知らずの娘さんは、瞳を輝かせながら、
「まったくそのとおりですね」と笑んだ。そして
「わたしはシェア生活の経験もあります。今度は佐藤さんのような人と生活することも、多分いい経験になると思います」
と付け加えた。
つまり私のような障害者と一緒に生活をするのもまた、自分にとってはいい勉強になると彼女は言っているのだろう。


私は四年前に夫と死に別れてから、ずっと一人暮らしをしている。だから身辺自立はできているつもりだ。そうは言っても何かと肉体的な負担を彼女にはかけてしまうかもしれない。そう考えて普通だと思う。けれどそんなことですら彼女の弁によれば、結局はすべて彼女の人生勉強につながるのだ。いや、そこまで結びつけてはいないのかもしれない。


 その好意的な気楽さ、おおらかさが私は気に入った。
 この人と一緒になら、気兼ねなく暮らしていけるかもしれない。
 今から思えばあれが、私が彼女を同居人に選んだ瞬間だった。



 彼女の名前は<花車みなる>といった。三年前に東北の岩手県から出てきた彼女は、今アルバイトでお金を貯めながら佛教大学の通信教育を受けているという。  地元の短大を終了しているので通信教育課程は三年、予定通り進めば卒業は来年になるそうだ。
いつも薄い色のスラックスをはいていて、外出の際には白い日除けの山高帽をかぶっている。《風の又三郎》を少女にしたような雰囲気の人だと私は思っている。


こうして見ず知らずの二人は、同じ屋根の下、二階と一階にわかれて生活するようになった。


「ひろみさんにお話があります」
 ある日、朝食を済ませると、花車さんがいつになくこわばった表情で言った。          いくぶん顔の表情がひきつっている。
『来た来た、来たぁー』私は覚悟をきめて、彼女と向かい合い、話を聞くために食卓のテーブルに腰掛けた。彼女が何を切り出しても、そう簡単には驚かない心構えはできていた。


 彼女との新しい生活は和やかに始まり、和やかに続くはずだった。三日前まで…けれど数日前からどうも彼女の様子がおかしい。内面に私への不満があるのだろうか、生活へのストレスをため込んでいるようなのだ。
 トイレ、シャワールーム、台所は共同で、お互いにこの一軒家を使ってそれぞれに生活しようというのが、初めからの二人の取り決めであった。


 食事は自炊で別々、干渉しすぎず、独立して生活をするのがシェア生活の基本なのだそうだ。けれど私は内心、あとは成り行き任せ、共有する時間を持てればありがたいと密かに考えていた。週に一度は一緒に食事をしたり、二人でテレビを見たり、どうせ同じ一つ屋根の下で暮らすのならいずれは家族のようになりたい。長屋の暮らしに慣れ親しんでいた私には《干渉しすぎない》というルールのほうが《気を使う》ことよりずっと至難の技だった。



 彼女のアルバイト先は常勤ではない。 シフトの都合でお呼びのない日もあるのだそうだ。学校の都合か引越しの都合でか、しばらく仕事を休んでいた彼女には職場からの呼び出しが無くなってしまった。
 越してきてから一週間になるが、彼女はまだ一日も働きに行っていない。アルバイトであるのだから日雇いであるだろうに…私は彼女の経済状態を心配した。


 若い女の子が生活を切り詰めるとしたら、それはまず食費からだと思う。
彼女は果たして、食事はちゃんととっているのだろうか? 栄養は足りているのだろうか?
独身に戻り、心配ごとの種が減ったところに、道楽で新たな悩みを作っている。     なんとも間の抜けた話である。


けれど新たな悩みがあるからこそ、新しい楽しさ、喜びだって感じられるのだ。
私は母になったような快感を感じていた。いい気になりすぎていたのだ。
「百円セールで秋刀魚が売ってたから、思わず二匹買っちゃた。今晩一緒に食べましょう」とか、
「スイカ、悪くなる前に、一緒に食べちゃおう」などなど。
初めはそれなりの理由付きで誘っていたのだが、どんどん露骨になっていったのかもしれない。


「ちゃんと栄養取ってる?」
「これ食べて」などなど。
ついに彼女の堪忍袋の緒が切れた。
 東北の田舎から一人で上京し、誰にも頼らず、たった一人で生きてきた彼女にとっては、私の小さな気使いも負担でしかなかったのだ。
 彼女はお互いが独立した生活者であることを主張した。そして今まで育ってきた環境の違う者同士は、時間をかけてこそ共に時間を共有するまでになれるのだと言った。
そんなものなのかなあ、とも思う。
確かに私は嬉しさのあまり、焦りすぎていたのかもしれない。馴れ馴れしくし過ぎてしまったのかなぁ。


一週間たって彼女のアルバイトも再開し、二人のシェア生活も元に戻った。
《雨降って、地、固まる》
朝と夜だけ顔を合わせる生活が続くようになった。作りすぎたおかずも、何とか今は一人で処理している。


念願だったシェア生活というのは、さして面白いものでもなく、つまらなくもなく、けれどやっぱり二人分の人肌を感じる暖かさいには、どこか懐かしさを感じているところがある。



 

  

 投稿者:    投稿日:2008年 9月12日(金)06時01分48秒
編集済
   

都をどり異聞

 投稿者:夜霧  投稿日:2008年 9月12日(金)06時00分10秒
 

都をどり異聞


投稿順 作者 投稿日
01 夜霧 2005年3月7日 01:00:03

桜花咲き匂う陽春4月、
京の春は最も華やかな表情を見せる季節である。爛漫と咲く花々を背景として、伝統行事や芸能が催され、なかでも、ひときわ京都らしい優雅な風情を添えて、祇園恒例「都をどり」の舞台が開く、・・・・

舞台の幕が上がると、正面は銀襖の背景。
右手花道桟敷には、黒紋付正装の地方(じかた)芸妓10名が三味線を手にして居並び、置き歌を唄いだす。置き歌というのは序の歌でこれから雅
の舞を見せますという歌である。この歌調にあわせて、
左花道桟敷に居流れる囃子方の芸妓舞妓8名がそれぞれに笛、鉦、太鼓,小鼓を受け持つていっせいに囃しだす。
置き歌の一節が歌い終わると音曲はぴたりと止んで一瞬とした間があく、
その時右手地かたの芸妓の一人が声高らかに、
「みやこをどりは~~~」と左右花道袖に出を待つ20名の舞方(まいかた)に呼び声をかける。その声に呼応して舞い方一同が声をそろえて
「よ~いやさぁ~~」と受け声で締める、
とたんに両花道はライトアップされ、再び置き歌のの二節目が右手囃しと
共に唄い出され、左右花道にそれぞれ10名の舞い方が、井上流独特の
つま先上がりのすり足で、しずしずと美しい姿をあらわす。
待つていましたとばかりに客席より拍手が場内にわきあがる。
きらびやかに粧われた舞い方達、春の図柄をあしらった青地の衣装に、
帯は金らん紅の半だらり、手には柳桜の団扇をかざし、
髪は花簪の京風島田、白がね房の髷飾りが一足毎にあでやかにゆれる。
花道に出そろった舞い方一同は観客席に向きなほり両手をついて一礼し、
両桟敷の音曲歌調にのって優雅な舞となる。
差す手引く手の美しさ、目にもあでやかな裾さばき、きびしい井上流の
稽古の冴えが観客を魅了し、場内は吐息まじりの熱気がみなぎって行く。
やがて舞い方一同は銀襖の舞台に移り、賑やかにはずむ音曲にはやされ、
ひとしきり舞って舞台両袖に退場、と同時に正面の銀襖が左右に開き、
そこから京にまつわる故事や物語が四季の景観を背景として、次々と
舞い画かれ、典雅華麗な舞台絵巻が展開する。

これが明治5年初演以来、連綿として今日まで継承されてきた京都祇園の
都をどりのパターンである。

    *     *     *

ある年の春、都をどりの鑑賞を明日にひかえたその前夜のことである。
春の夜の祇園界隈は夜桜を尋ねる人々で賑ふ。
かがり火ゆらぐ円山公園の紅桜は満開の花々をしだれの枝につけ、
優雅な姿態をみせて咲き誇り。
白川端の桜並木は川面に花びらを舞わせ、さらさらと鳴る流れに
あでやかな水模様を画く。
つなぎ団子の紅提灯に飾られた祇園の露地は、都をどりの開幕を
告げて常客の心を誘う。
ここは祇園のお茶屋「M]の奥座敷、われわれ5名の客が馴染みの芸妓
舞妓と共に京のうま酒に快く酔い、春宵の一刻を楽しんでいた。
「春は花いざ見にごんせ東山、色香あらそう夜桜や・・・・」
藍香、花代の三弦に冴える見事な撥さばき、すきとほるような歌声の
美しさ、それに里美の横笛が喨々としてからんでゆく、
馴染みの客とはいえ、吾々は彼女達の芸の座になるといつも観賞の態度
となる。
いま舞妓の照子と静子は格調ある音曲にのってもの静かに舞っている。
裳裾さばきもあでやかに、襟足からだらりの帯に流れる線が舞の振りに
ゆれて、ほれぼれとした美しい曲線を画く、先程吾々と無邪気にはしゃい
でいた彼女達だが全身から何かきりっとした気迫がただよってくる。
さすが祇園なればこその雰囲気である。
舞が終わると客一同は観賞の緊張がときはなされ、思わず心からの拍手を
彼女達に贈る。・・・・祇園の春宵、つややかにすぎてゆく・・・

                            (つづく)

 

雨の夜の幻影

 投稿者:H・G  投稿日:2008年 9月12日(金)05時58分45秒
 

雨の夜の幻影

投稿順 作者 投稿日
01 H・G 2005年2月10日 22:54:22

 蕭条と降る雨の中を車は湘南海岸を走っていた。
海は暗く波は風と共に大きくうねり、はげしい潮騒をひびかしているが、走る車の中はラジオの甘い深夜ミュージックが流れ、男と女が意識しない意識の中にかもしだされる魅惑的な和やいだ雰囲気がただよっていた。
134号線沿いに立ち並ぶ水銀灯の光はなにか淡く、暗い雨の中に浮き出て、フロントガラスにけむる雨のしずくを、透明な美しい光の玉と散りばめ幻想的な想念いだかせる。
傍らのI子はラジオのメロデーに聞き入っているのか、窓外にを過ぎ去る雨にかすむ水銀灯の灯の美しさに魅せられたのか、先ほどから一言もなくおしだまったままである。
車の時計は12時40分を過ぎていた。
このI子と私は4時間前までは全く未知な者達であった。
それがどうしてこの雨の夜半を二人だけで車を湘南海岸にはしらせているの・・・・・・・
時間を4時間前にもどして見よう・・・・・

   *        *        *

 Y市のナイトクラブC.S。
ここは、市内屈指の社交場である、ホステスはいるが客のほどんとはカップルか知己や家族同士の会合に利用されている。
 彼女との出会いは此処から始まる。
仕事の終えた息抜きに、私は雨の中をこのC.Sへ出掛けた。
ボーイになじみのR子を指名したが生憎休みであった。
かわりのホステスと考えたが、呼ぶ気も起こらないままに、9時のショウをみて帰ろう思いながら、一人でテーブルにグラスをかたむけ、フロアーで楽しそうに踊る男女の姿をながめていた。華やいだ社交場にはいり、相手がないくらい退屈で無意味なものはない。
浮き立つ心にもなれず、あたりの様子を見るともなく眺めていると、すぐ右隣のテーブル二人の女性客があつた。
二人とも30才半ば頃であろうか、一人は薄黄色のスーツに黒ぶちの眼鏡を掛け、やや肥り気味ではあるが黒の眼鏡のせいか、どこか知性を感じさせる美しい女性である。
他の一人は黒のドレスがぴったりと身体に合い、顔立ちはやや面長で切れ長い目が美しく印象的な女性である。
二人は友達らしく共にカクテルのグラスをかたむけながら親しく語り合い、フロアーに出ては楽しそうにダンスに興じていた。



02 H・G 2005年2月10日 22:56:00

 9時のショータイムが終わった頃、二人は隣のテーブルに私が一人でいることに気がついたらしく、ダンスをお終えてフロアーから自分達のテーブルへ戻る時、隣のテーブルの私と視線が合うと一寸会釈して通るようになつた。
同じ客どうし、そしてテーブルが隣という親近感か、それともその場の雰囲気がそうさせたのか、バンドがタンゴの曲となった時、私は隣にテーブルに声をかけた。
「よろしかったら踊っていただけませんか」
二人とも顔を見合わせてほほ笑んだ。
そして黒のドレスの女性が眼鏡の女性に言った。
「あなたお相手して上げたら・・・・」
「私は駄目ですわ、下手なので・・・Sさんあなた踊りなさいよ」
眼鏡の女性は一応辞して黒のドレスの女性にすすめた
「先ほどよりお手並み拝見しております、よろしければお願い致します」
私は眼鏡の女性をうながした
「本当に下手なのですよ」そう言いつつ眼鏡の女性は席を立った。
それが彼女達との心の交流のきっかけであった。眼鏡の女性と踊ってから黒のドレスの女性とも踊った。10時のショータイムが終わった頃、彼女達とは初対面の心のしこりも取れ、楽しく踊り、親しく語り、そしてお互いに自己を紹介しあっていた。
こうした彼女達とのふれあいから、私は二人がそれぞれに家庭の主婦であることを知った。
眼鏡の女性はN・A子、黒のドレスの女性はS・I子といつた。
そうした打ち解けた会話が自然とお互いの家庭のことに及んだ時、I子が突然言った
「そのお話し止めましょう・・・それよりも楽しく踊りましょうよ」
ダンスはI子がはるかに上手であった。
彼女と組むとそのスタイルのよい身体は私の腕の中に吸いつくように入って、バンドのリズムに乗って流れるように踊ってくれた。
11時30分、私は彼女達を送って行くためラストを待たずに席を立った。
C・Sを一歩外へ出ると相変わらずの雨である。
「踊っていただいて、それに送ってもらえるなんて今日はついているのね」
N子ははしゃいで言った
「たまにはこんなムードも良いものよ、誘っ甲斐があったわ」
後部座席で二人はC・Sの興奮がさめきれないのか、楽しそうに語っていた。
車は先ずN子が住むというTに向かった。T駅を越えて約1K,1号線を沿いを行き、
左折したところの住宅地でN子はおりた。
「次に貴女はM台団地でしたね」
私は車を返しながら後部座席に声をかけた。
「えぇ・・・今何時かしら」
一度うなずいたI子から声が戻ってきた
「12時過ぎたところです」
車は1号線に出るべく走り出していた
「ねぇ、もう少しドライブしません!!悪いかしら」
思いがけないI子の声である
「僕はよいのですが、貴女は差し支えがありませんか、あまり遅いと
 ご主人が・・・・・」
と言いかけた時、I子の声がそれをさいぎった
「あら・・さっきその事は言わないこととお約束したでしょう、
 もうすこし、別なお話しましょうよ」
N・A子が傍にいた時とはうって変わったI子の声は妙に甘く、艶めかしい、C・Sで飲んだカクテルの酔いが、今彼女にまわってきたのだろうか、私は車をとめて言った
「それでは30分くらい走りながらどこかで軽い食事でも摂りましょうか、後ろではお話が遠いですから前へきませんか・・・・」
I子はそれを待っていたように助手席へ席を変えた。車は1号線を左折した、M台団地の方角は右折であるが、私は右折をしなかった
「何処へ行きますか」
「貴方のよろしいところへ」
私は車を雨に濡れた1号線を湘南方面目指し、
アクセルを踏んだ・・・
(ここから冒頭に書いた時間につながつてゆくのである)

     *     *     *

                   (つづく)



03 H・G 2005年2月16日 22:59:03
     *     *     *

 遠く湘南C市のPホテルの灯が海岸線の彼方に見え始めてきた。
「夜のドライブって素晴らしいですわ・・・踊っていただいたり、ドライブをお願いしたり・・・貴方にはご迷惑かけるけど今夜は本当に楽しいわ」
多少彼女はカクテルに酔っているらしい
「貴方は私の主人のこと気がねしていらしたわね・・本当のこと教えましょうか」
ちらっと見ると彼女はいたずらっぽくほほ笑んでいた
「本当のことって、貴女は奥さんなんでしょう」
私はいぶかしげに言った
「そうですわ、でもその心配ご無用ということよ」
「と、言いますと」
「主人はね、4日前からS県へ出張していますのホホホ・・・」
彼女はなにがおかしいのか楽しそうに笑った
Pホテルが目の前に見えてきた。
「ここで軽い食事でもいたしましょうか」
私はそう言いながらPホテルの駐車場へ車を入れた。言わずとも私の目的はこうした彼女の態度から、はっきりと定まっていた。ただ彼女をその目的へ、彼女の自尊心を傷つけることなくスムースにみちびいて行くかがいまの私の課題でもあった。
深夜の地上10階のPホテルは各階ごとの窓に七彩のカーテンをかかげ、それが部屋の明かりに映えてなまめかしく、湘南海岸の闇の中に華やかな、そして魅惑的な光を放って浮き出ていた。
ホテルのロビーに向かってゆく私に、彼女は何のためらいもみせずだまって後をついてきた。自動ドアが開いてフロントに私たちが立った時、一人のボーイが近づいてきた。
「ご予約のお客様ですか」
「いや、予約はしていない」
私は一寸戸惑った。すかさずボーイは言葉をついだ
「お泊りでいらっしゃいますね」
あまり事務的に、あまり短刀直入に言われると、横に彼女が立つている手前、内心そうであっても咄嗟に「そうだ」とは答えられないものである。
「いや、食事だけだ」
私はそう答えざるを得なかった。何ともまずい答えである
「ではこちらへ」
ボーイは私達を促すようエレベーターに案内し、10階を押した。
静かに上がってゆくエレベーターの中の三人はおし黙ったままである。重苦しくいらだたしい空気が流れる。やがてエレベーターは止まった。Pホテルの10階、そこは深夜レストランである。テーブルについて10階から眺める夜景は単調ながら美しかった、134号線の水銀灯が、2列平行に海岸線沿いに美しい曲線の光の帯を描いて、深夜の雨の中に浮かんでいる。
時折車のライトがその光の帯と交錯する。
「美しいわ」
席について彼女ははじめて口を開いた。
じっと眼下に流れる光の帯の美しさを見つめていた。折から舞台のバンドは夜景をアレンジするかのように魅惑的なメロデーを奏していた。先客には男女のカップルが二組いるだけである、雨は窓を打ち風も出ているが、このレストランの中はその音は聞こえず、ただバンドのリズムが快く耳に響いている。
Y市のC・Sとはまつたく異なった、やわらかな雰囲気このレストラン全体を包んでいる。カクテルを注文し、食事もとつた。
「いつもこちらへ、お見えになるのですか」
彼女は食事をとりながら、その美しい切れ長い目をやや上目つかいに私を見つめた
「いつもというわけではないが、前にきたことがあるのです」
「やはり女の方と」
彼女はいたづらっぽく笑った
「そうです」
私はかくすことなく答えた。
以前同級生でH市に会社を持つOと共にバーの女の子をつれてここえ来たことがあった。
「その女の人、綺麗な人でしたでしょうね」
冗談ともつかず、さぐりかけるでもなく、彼女のその問いかけの目がほほ笑んでいた。
「そう、綺麗な人でした、丁度貴女のような美しい人でした」
自分ながらキザな名文句が口をついて出た。ところがこうしたムードの中ではこのような文句がキザっぽくなく。その場にふさわしく溶けこんで、深夜の男と女の会話の雰囲気というのは微妙なものである
「お上手ですのね」
彼女は艶然とほほ笑んだ、そして例の甘えたような口調で
「私そんなではありませんわ」
と言って半ば媚びるような姿態でテーブルのグラスを口にあてた。その時人妻のみの持つ特有のなまめかしさが、彼女の全身を包んでいた。

                     (つづく)


04 H・G 2005年2月21日 11:30:51

「いつもこちらへ、お見えになるのですか」
彼女は食事をとりながらその美しい切れ長い目をやや上目づかいに私を見つめた。
「いつもというわけではないが、前に来たことがあります」
「やはり女の方と」彼女はいたづらっぽく笑った
「そうです」
私は隠すことなく答えた。以前、同級生でH市に会社を持つOと共にバーの女の子を連れて、
ここへ来たことがあつた。
「その女の人綺麗な人でしたでしょうね」
冗談ともつかず、さぐりをかけるでもなく、彼女のその問いかけの目がほほ笑んでいた。
「そう、綺麗な人でした、丁度貴女のような美しい人でした」
自分ながらキザな名文句が口をついてでた。ところがこうしたムードではこのような文句がキザっぽくなく、その場にふさわしくなるから、深夜の男と女の会話の雰囲気というのは微妙なものである。
 「お上手ですのね」
彼女は艶然とほほ笑んだ。そして例の甘えたような口調で
「私そんなではありませんわ」
と言って半ば媚びるような姿態でテーブルのグラスを口に当てた。そのとき、人妻のみのもつ特有のなまめかしさが彼女の全身をつつんでいた。食器が下げられコーヒーを飲んでいる時、流れるようなメロデーを奏していたバンドがやんだ。時計は午前1時半をさしていた。
先客の2組はいつのまにか姿を消していた。客は私達の組だけが残されていた。
「さあ、そろそろ私達も帰りましょうか」
 「だいぶ遅くなりましたのね、貴方もおつかれでしよう」
彼女はコーヒーを飲み終えながら答えた。
 「疲れたと言えば多少そのような気もします・・・どうですか疲れ
 直しに、入浴して帰りませんか・・・・・・・」
案外すらすらとこの言葉が口をついて出た。いわずとしれたこの言葉の意味はルームに入ることである。
「お風呂・・・・・・・」
「そうです」
私ははっきりと答えて、彼女の切れ長い目をじっと見つめた。
「そうですね・・・・・・・」
彼女の目にはためらいの色が見えた。私の言葉の裏を読んだのである。切れ長い目が,はじらいをみせながらテーブルの片隅を眺めていた。その態度からは私の言葉の裏を拒む様すがみられなかつた。ただそこには,人妻であるが故のためらいがあつた。
二人のあいだに一寸した沈黙の時が流れた。
「どうですか」
私は静かに答えをうながした。ややあって彼女はテーブルの片隅を眺めながら答えた
「私ね、貴方をもっと知りたいんです、そしてこれから、もっと、 もっと貴方とおつき合いしたいんです・・・・・そうした上で お互いの心が、何のわだかまりもなく、そうなって行くのならかまいませんけど・・・・・」
そう言って静かにほほ笑んでいる彼女の目もとは、心なしか薄赤く染まっていた。私は彼女の気持ちがよく解った。その通りである。水商売の女ならいざ知らず、まして人妻である彼女としては、よろめくにしても、こう答えるのが本当の気持ちではなかったろうか。
私はそうした彼女の気持ちにさわやかなものを感じた。
「解りました、それでは此れで帰りましょう」
私はその場の空気を一転させるように、明るく自分に言い聞かせるように立ちあがった。
彼女も同じように席を立った。何時の間にかあ雨はあがっていたが風は強かった。
車は元きた道をすべるょうに帰って行く、
「本当に今夜は楽しかったわ、いままでの私にこんな夜があるなど とは考えても見ませんでした」
彼女は明るい打ち解けた声で言った。来る時は窓際にかけていたのが、帰りの今は運転する私の方へ身体をよせている。C・Sでダンスの時は気がつかなかったが快い香料の香りが彼女の肌からそよいでくる。
「こんど何時お逢いできますか」
「そうね、携帯をおしえますわ、きっとかけて下さいますわね、但し
 土曜日と日曜日を除いて午前10時から午後3時までのあいだですの」
「午前10時から3時までの間ですね、番号は」
「090・×××1・×9×9」
彼女は私の耳もとに顔を寄せて小声で言った
「090・×××1・×9×9」
彼女の体温を感じながら私はその番号を脳裏の中に、繰り返し、繰り返し、きざみ付けた。
それから30分後の午前2時10分、車はM台団地の入り口についた。
「お電話しますよ」
車外に出ようとする彼女の手をとって念を押した。
「お待ちしていますわ、きっとね」
その声と共に手はきつく彼女のほうから握り返された。その手のやわらかな感触に、彼女の情熱が感じられた。深夜のM台団地、その団地の建物の中に彼女は吸い込まれるように
消えていった・・・・・・・
黒く高く、立方体に、巨大に林立する冷え冷えとしたコンクリートの建物の群れ、その群れの中に住む人々、人間を一つの企画の中にとじこめて、そして抽象化された生活があるなら、そこに形作られるものは、やはり抽象化された人々ではないだろうか・・・・
おそらく彼女I子の行動は、抽象的な生活の中から自由な人間らしい情熱の憩いを求めてのものではなかったろうか・・・・
* * *
その夜から10日ほど過ぎた午後1時頃、私は半信半疑のままに彼女が教えてくれたダイヤルを廻した。
090・×××1・×9×9。信号音は確かに相手を呼び出している。
4・5回信号音があって応答があった。
「もし、もし、Sさんのお宅ですか」
「はい、こちらSでございますが、どちらさまで?」
応答にでたのは女の声である。妙に取り澄ました、そして気取ったような事務的な声である。その声からはあの夜のI子の片鱗さえも感じられない。おかしい、他人のTELナンバーでかつがれたか、そう思ったが思い切って言って見た
「僕、Mですが・・・」
とたんに、先方の声の調子ががらりと変わった
「まぁ~・・・Mさんですの、どなたかと思いました^^・・・」
今、受話器に響いてくるのは、あの甘えるような艶をふくんだまぎれもないあの夜の彼女I子の声であつた。

                       (始まり)


 

氷が溶けるまで

 投稿者:石田 香乃  投稿日:2008年 9月12日(金)05時45分54秒
 

氷が溶けるまで 投稿順 作者 投稿日
01 石田 香乃 2005年5月14日 20:01:44

『オメデトウ』
そう、あなたに言ったのは間違いなくあたしだった・・・。
その日残り少ない氷が溶けたのは言うまでも無かった・・。

「だぁっ。もぅ。アホッ!!!」
「ぇ?何さ?ボーっとしてるから何かと思ってたら・・・」
「ぇ?あっ。悪い!!」
「言葉使い(怒」
「あっ。ごめんごめん」
―ほんの5日前この北垣中学に入学した。
「あっ。ねえねえ!次美術だしいこ!!ねっ」
「あっ。うん。って、ちょっと待ってよ侑依!!」
―この子は、中学に入っての友達。由奈。
「お前ら、さっきから何?うるさいっての」
「あっ。ごめん和弘!」
―こいつも、中学で初めて知り合った男・和弘


とりあえず、ここまでです!
まだまだ、続きますよ!



 

  

 投稿者:    投稿日:2008年 9月12日(金)05時27分9秒
編集済
   

目次

 投稿者:小説家志望集まれ・作品集  投稿日:2008年 9月 9日(火)00時42分16秒
編集済
 


     工事中


 

花車さんがやってきた

 投稿者:瓜子姫  投稿日:2008年 8月28日(木)19時11分47秒
編集済
 


「生きているって、新しい経験の積み重ねだと思うのです。見ず知らずの者同士が気を使い合って生活を始めても、運が良ければ打ち解けあって、よりよい未来に繋げていけるのでは」
 ルームシェア内覧希望者の娘さんの前で、私はシェアメイト募集の理由を熱っぽく語った。いかにも好奇心旺盛で苦労知らずの私らしい甘い考えだと思う。もし同居する人に裏切られたら、私は人間不信に陥ってしまうかもしれない。
でもそんな取り越し苦労はしない、失敗をして傷ついたのなら、それはその時になってから考えよう。それが私の今までの生き方だった。
 するとそれまで黙って私の話に耳傾けていた見ず知らずの娘は、瞳を輝かせながら、
「まったくそのとおりですね」
と微笑み、続けて言った。
「わたしはシェア生活の経験もあります。今度は佐藤さんのような人と生活することも、多分いい経験になると思います」
 つまり私のような障害者と一緒に生活をするのもまた、彼女にとってはいい勉強になると言っているのだ。
私は四年前に夫と死に別れてから、ずっと一人暮らしをしている。だから身辺自立はできているつもりだ。そうは言っても何かと肉体的な負担を彼女にかけてしまうかもしれない。けれどそんなことですら彼女の弁によれば、結局はすべて彼女の人生勉強につながるのだ。いや、そこまで結びつけてはいないのかもしれない。
 その好意的な気楽さ、おおらかさが私は気に入った。
 私が彼女を同居人に選んだ瞬間だった。
 彼女の名前は、花車美晴といった。
三年前に東北の福島県から出てきて、アルバイトでお金を貯めながら仏教大学の通信教育を受けているという。地元の短大を終了しているので通信教育課程は三年、予定通り進めば卒業は来年になるそうだ。


「ひろみさんにお話があります」
 朝食を済ませると、花崎さんがこわばった調子で言った。
❘❘来た来た、来たぁ❘❘
私は覚悟をきめた。彼女と向かい合ってテーブルに座った。

 彼女との新しい生活は和やかに始まり、和やかに続いていた。けれども数日前からどうも彼女の様子がおかしい。内面に私への不満だろうか、生活への不満なのだろうか、何かをため込んでいるようなのだ。
 トイレ、シャワールーム、台所は共同で、お互いにこの一軒家を使ってそれぞれに独立して生活しようというのが、二人の取り決めだった。
 食事は自炊で別々、干渉しすぎず、あとは成り行き任せに共有する時間を持てればいいというのが私の考えだった。

彼女のアルバイト先は常勤ではない。シフトの都合でお呼びのない日もあるのだそうだ。学校の都合か引越しの都合でか、しばらく仕事を休んでいた彼女には職場からの呼び出しが無くなってしまった。
 越してから一週間になるが、彼女はまだ一日も働きに行っていない。アルバイトであるのだから日雇いであるだろうに…私は彼女の経済状態を心配した。
 若い女の子が生活を切り詰めるとしたら、それはまず食費からだと思う。
果して彼女はちゃんと食事を取っているのだろうか? 栄養は足りているのだろうか? 独り身になり心配事が減ったと思ったら、今度は道楽で悩み事を作ってしまった。ずいぶんと間抜けた話ではある。
 けれどこれを乗り越えなければ新たな楽しみや喜びさえも、感じられることはなかったであろう。私は母になったような快感を感じていた。
 そして図に乗りすぎてしまった。

「100円セールで思わず秋刀魚を二匹飼ってしまったから、今晩一緒に食べよ」とか「痛むともったいないからこの西瓜、半分食べてくれる?」などなど。
 初めは遠慮がちに理由ずけで誘っていたが、次第に単刀直入に用件を伝えるようになっていた。

「ちゃんとご飯は食べている?」「これあげる」
そんな生活が何日も続いたのだから内向的な性格、つまり人に甘えることに慣れていない彼女にとっては辛い毎日だったのかもしれない。一回り以上も年上の私が、もっと彼女の心情を思いやってあげるべきだったのかもしれない。

 

セカンド ラブ

 投稿者:瓜子姫  投稿日:2008年 8月20日(水)21時04分50秒
 


 夫と死に別れ四年、かっての恋多き乙女、現在の恋多き中年の私は、二回目の恋をしてしまいました。なんとふしだらでいやらしい女であることかと、時に自己嫌悪に落ち込むこともありますが・・・自分の存在そのものが、一人の愛をあきらめていた孤独な男性の生い立ちを救っているのだという充実感に・・・私は生きる喜びを感じています。

それは私にとって2度目の恋なので、乙女チックに、その人と並んで歩きたいとか、守ってほしいとかは思わないのです。実態のない恋・精神的恋愛を求めています。多少の打算や力関係のない自由恋愛を、私は今だからこそ楽しめるのだと思っています。
 

桜の木の下で

 投稿者:羽柴蝶  投稿日:2008年 8月 2日(土)16時02分44秒
編集済
 

桜の木の下で     投稿者:羽柴 蝶

(副題)
----中学一年生になった私は、初めて恋というものをしました----

「送れるやん!!」

私、狩葉さくらはダッシュで通学路を通り抜ける。
イキナリだけど、私は好きな人というものがいない。
まぁ正直言っちゃうとアレなのよ…

理想の男子がいない!!!

理想の男子の条件を友達に言ったら「そんな完璧な男いるはず無いやん!!」ってツッコまれた。(即☆)
だから一般的にはその理想の方は無謀に等しいらしい。

けど…私はいつか本当に王子様が現れるって思うんだよね…。

髪の毛がサラサラで。
歯がキラリンって感じで。
身長高くて、モデルみたいで、優しくって、……時々意地悪、な…人。

「ハァ~…そんな人いないのかなぁ…」

溜息をつきながらさっきまで元気だった足が衰えていく。
ふぅ………………


?!!


「ぉ………」

――おった………。

私の、王子様や………

桜の花が舞い上がり、風が吹く。

スローモーションで彼と目が合う。

桜の木の下で……

彼は私に気づくとニコリと笑い。

視線を外し桜の木をまた見つめる。

その視線はとても愛おしそうな。

見てはいけないような感じがして、私はフイッっと視線を外した。

けど………

私の、理想の………人…………。

ハッ、風が少し強くなったような気がしてまた視線を戻すと。

彼は、いなかった。

呆然としながら声は掠れていた。

「……あれ…ッ……いない……」

あれは幻覚だったのか?と。

今までにないドキドキ感で、胸が苦しくなって。

今すぐにまた彼に会いたい衝動におそわれる。


「会いたい………」


彼に、また。

桜の木の下で会った彼に………

幻だったとしても。

どんな形でもいいから。

「……王、子…さま…」
 

揺れる想いの果て

 投稿者:羽柴蝶  投稿日:2008年 8月 2日(土)15時52分18秒
 


揺れる想いの果て 投稿順 作者 投稿日

01 羽柴 蝶 2005年3月12日 14:55:57

「ねぇ、夏樹の事好き?」
いつも一緒に登校しているまりお姉ちゃんが聞いてきた。
夏樹(なつき)というのはまりお姉ちゃんの弟だ。
「え??」
私はこの時1年生。
『好き』は「このお菓子好きー」とかそういう事しか使った事が無かった。
どちらかというと幼馴染みの2人では夏樹よりも一輝(かずき)の方が好きだった。
しかし、私は夏樹のお姉ちゃんに「好きじゃない」などと言える性格では無かった。
「うーん・・・好きだよ」
と、答えるしか無かった。

それからも毎朝まりお姉ちゃんが
「夏樹が雅(みやび)ちゃんの事好きって言ってたよー」
とコソコソ耳打ちして教えてた。
最初は一輝の事が好きだった私だったが、じょじょに夏樹に惹かれていった。
小学3年生の夏。
「俺・・・引っ越すんだ」
一輝が引っ越す事を聞いた。
ぇ・・・・。
皆で泣いた。
そんなに遠くもないし、中学生になったらまた同じクラスだが。
同じの同学年なんて滅多に居ないだろう。
そして、すっごく仲良しって。
私が「みーちゃん」一輝が「かず君」夏樹が「なっ君」って小学生になってるのに男子の事呼ぶなんて珍しいよね。
それに毎朝私、私の兄、妹、夏樹、夏樹の姉、妹、一輝、一輝の妹で登校していた。
影踏みやりながら行ったり、ジャンケンしながら行ったり追いかけ回しながら行ったり、凄く毎日楽しかった。
近所でも有名で皆が集まって喋ってた。子分とか作って。
なんか一輝が居なくなるって。
嫌だ・・・。
夏樹に惹かれていたが、やっぱり私一輝の事が好き・・・と思った。

が、年月が経つに連れ一輝よりも夏樹の事が好きになっていった。
やはり近くにいる人の方を選んでしまうのだ。
会えないから・・・寂しい想いをするのが嫌だったのかもしれない。

「このゴリラ!!」
「はぁ??まてコノ野郎っっ!次言ったらシメるつったよねー??」
「キャァァァッッ!!巨人中澤が襲ってくるー逃げろー」
「ゴラァ待て逃げるなんて卑怯だぞ!」
追いかけて②・・・コレが毎日の日課。
怒りながらも私も内心楽しんでたりするんだよね。
そんなこんなを毎日しながら、私はいつもそばに居る夏樹の事が好きになっていった。
多分、まりお姉ちゃんの一言が無くてもきっとこうなっていたと私は思っている。

だが、私はだんだんなっ君じゃなくて名字の坂城と呼ぶようになったし、向こうも「みーちゃん」と呼ばなくなって中さんと呼ぶようになった。
やっぱり年が経つほどに変わっていくモノだ。
前はつき合っていたが、今はもうつき合っていない。
・・・と思うし。
ホント何も変わらなかった。
一緒にいつもいるわけでもなく。
デートするわけでもなく。
告白なんかしない方が良かった・・・と思っていた。
6年生になって運命的に隣の机になっても前のようにじゃれなくなったし。
席替えがあった後はほとんど話さなくなった。
だから私は他の人の事が好きになっていたから、もうそんな気持ちも忘れていた。

しかし中学生になる頃、私の運命は静かに幕を開けていたのであった・・・・。



  
 

*本気の恋* 

 投稿者:羽柴蝶  投稿日:2008年 8月 2日(土)15時49分33秒
 



  *本気の恋*     投稿者:羽柴 蝶
投稿日:2005年3月5日 20:48:01


自分の事がキライ。
皆に嫌われてる自分が。
だから、だから。
私のこと好きって言ってくれる人求めた。
私のこと大切に思ってくれる人求めた。
ホントは皆と一緒に喋りたいのに。
強がって嫌味言ってる自分が嫌だった。
そんな事言ったって解決しないってよけい悪くなるだけだって、分かってるんだけどね・・・。

そして闇の中で光を見つけた。
私と真逆の人。
私を受け止めてくれた。必要としてくれた。
でも、その人は私じゃなく違う人を見ていた。いつも。
遠くを見て手、どこか寂しげな顔。

親友の茉莉が
「祐汰先輩早退したって!なんかワケありじゃない?」
って聞いた時私体が動いてた。
やっぱり私じゃダメだったんだ。
でも、ダメもとで・・・自分の気持ちに蹴りをつけよう・・・。
そう思って、走った。

桜の木の元で2人が見えてきた。
何か雛乃さん凄く思い詰めた表情してる。
祐汰先輩・・・凄く眼差しが違うの。
凄く雛乃さん憎かった。私に見せてくれなかった笑顔。
見てるのに、心はいっつも雛乃さんに向けられてるのに。
なんで答えてあげないの?なんで?凄く疑問だった。
でも私、心は雛乃さんに向けられてるって知ってるけど祐汰先輩の事が好き。
本気で好き・・・。
「祐汰せんぱぁ~いvv」
笑顔で、そしていつもより甘めの声で登場して雛乃さんの目の前で腕をからめて。
二コッって笑ったら雛乃さん思い詰めた表情して
「愛さん・・・祐の事頼んだっ!」
私たちの追いつけないようなスピードで走り去っていった。
雛乃さん・・・泣いてた・・・?そんな事を想いながらも
「ぇ・・・どぉ~しおたんだろう・・・?」
甘めの声で祐汰先輩に聞いてみる。祐汰先輩すごく悲しそうな顔をしてた。
私まで悲しくなってしまうような、そんな表情。
・・・・・。
「先輩!雛乃さん追わないの?行っちゃってるよ?良いの?後悔しない?」
言いたい事、聞きたい事、全て言った。
着飾らない「愛」で。
「・・・もう俺ダメだ・・・。雛乃、もう俺と喋りたくないんだよ」
やっぱりそうなんだ、雛乃さんの事。
もう蹴りはついた。愛、もう諦められるよね?自分に言い聞かせる。
私・・・祐汰先輩の恋、応援するよ?
叶わない恋なんて、私には似合わないモノ。
茉莉にはそう言うんだろうな。
カッコ悪いよね、ホント私。負け犬の遠吠えだった分かってるのに。
「違う・・・先輩は、雛乃さんの事好きなんでしょう?じゃあ何で自分の気持ち言わないの!
なんで挑戦しないの?失敗するの恐れちゃ恋なんか出来ないんだよ・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
沈黙が続く。
やっぱり私の一言で動いてくれるハズないよね。
すると俯いていた祐汰先輩、顔を上げる。
「愛ちゃん・・・ありがと。俺、やっぱ雛乃の事好きだし。いっちょ告ってくるわ!ホント・・・ありがとう。
愛ちゃんが居てくれてよかった」
手を振って去っていった。
学ラン姿がすっごくカッコ良い祐汰先輩が大好きでした・・・・。
私はそうして涙を拭きながら大好きだったあの人の幸せを祈った。


 

☆☆きみのトナリ☆☆    

 投稿者:  投稿日:2008年 8月 2日(土)15時45分23秒
     ☆☆きみのトナリ☆☆    投稿者:凛

投稿日:2005年3月5日11:44:40

男・矢吹葵(ヤブキアオイ)。一世一代の大告白。

 「立花!!お・・俺と付き合ってくれへん??///」
「・・・いや。」
あえなく撃沈↓↓。俺、矢吹葵は自分で言うのもなんだが、もてる。いつも女子にキャーキャー言われて、女に苦労した事はない。そんな俺が初めて本気で好きになった女・・それが立花茜(タチバナアカネ)だ。立花は学年一の美人だ。頭もよくて、いつも一番をとっている。しかし、優等生というわけではなかった。髪の毛は茶色いし、ピアスはつけてるし、制服はくずして着てるし・・・それは立花だけというわけではなかったが、頭が良くてコレというのは珍しかった。授業もよくさぼっていた。立花はかなり優秀なようで、教師も何もいえなかった。運動能力もトップクラスだ。性格もいいらしく、立花の事を悪く言う奴は見た事がない。俺の周りの奴はかわいいと言っていたが、気が強いところも、かわいい系ではなくきれい系というところもタイプじゃない。・・はずだった。なのに今では立花にべたぼれ。一体何があったかというと・・・・
あれは俺が放課後、数学の補修プリントをやっていたときだった。みんな帰ってしまい俺一人、教室にいた。
「わっかんねぇっ!!なんやねん、これ!!」
俺が叫んでいると、立花が教室に入ってきた。さっきの授業は出ていない。今まで何をやってたんやろ?と思いつつ、話しかけてみた。
「まだおったんやな。」
「まぁ。そっちこそまだおったんや。なにしてんの?」
「数学のプリント。この前のテスト赤点やったから・・」
「ふぅ~ん。」
立花が近づいてきた。
「ここさ、この公式使ったら早いで。」
「えっ?・・・あっ!ほんまや!」
その時、上から何かが落ちてきた。飴だ。
「コレでも食べてがんばりぃ。」
立花がこんなことするのが以外で、なんかうれしかった。
「あっあの、立花!!ありがとうな。」
立花はいつもの大人っぽい表情とは違う、なんともかわいい顔で笑いながら振り向いた。
「どーいたしましてっ^^んぢゃね♪」
(きゅん。)
え!?きゅん!?えぇ!?
俺は立花を呆然と見送った。

次の日。俺はあれからかなり悩んだ。俺は立花が好きなのだろうか。いやいや、あいつは俺のタイプとちゃう。いや、でも・・・俺は授業どころじゃなくなり、サボる事にした。屋上に行き、ドアを開けた。
『!!』
俺はびっくりした。立花が屋上で寝ていたのだ。風になびくさらさらの髪。俺は触りたくなった。手を伸ばし、髪に触る。心臓バクバクで、耳まで真っ赤だった。
「ん・・・」
起きそうな立花にびっくりし、俺は屋上を後にした。立花が好きなんだという確信を手に。
好きだとわかれば告白!かなと思った。なにしろこんな事初めてなもんだからどうしていいかわからない。で、とりあえず告ってみたところ、ふられたわけだ。
「俺、ホンマに立花が好きやねん。たのむ!つきあってくれ!!」
「・・だってさ、矢吹いっつも違う女の子連れてるやん?あたし、自分だけ見てくれるヒトがいいねん。」
「・・・もう他の女の子とは遊ばへん。俺が好きなんは立花だけやねん。」
「信用できひん。」
「頼む!信用してくれや。俺、お前がえぇねん。なんでもする!!」
「・・・ぢゃあ、次のテストで400点取れたら付き合ったってもえぇで。」
「ほんまに?!」
「うん。でも、女の子と遊んでたら絶対にとられへんで。」
「死ぬ気でやるわ!!」
こうして、俺はチャンスをもらった。
「おーい!たてちゃーん!!ここ教えてやぁ。」
「どないしてん?!お前が勉強とか!熱か?風邪か??」
「失礼なやっちゃなぁ。普通に勉強しようゆうてんねん!」
とまぁこんなかんぢで、俺は死ぬ気で勉強した。前は女の子と遊ばれへんかったら、死んでまうって思とったけど、今は女の子よりも、何よりも、立花が大事やから、勉強は全然つらくなかった。
そして運命の日・・・・
「テスト返すぞー!!」
どくん。どくん。
「・・・矢吹ー!お前今回がんばったなぁ!398点や!!」
「398・・・」
無理やった。周りはすごいってゆうてたけど、398じゃ意味がないねん。400ないと意味がないねん・・・。俺は放課後屋上にいた。そして、考えていた。
立花の事あきらめなあかんやろか・・・あきらめられるやろか・・・いつのまにかこんなに好きになっとった。きっとこれからもどんどん好きになっていくんやろう。でも、この想いが伝わる事はない・・・
その時、後ろから誰かが小突いた。振り返ると立花がいた。
「立花・・・・俺・・400点取れへんかったゎ・・・。だから・・・」
「付き合おっか。」
俺はびっくりして立花を見た。
「い・・今なんて・・?」
「もう!一回しかゆわへんからな。矢吹葵さん。あたしと付き合ってください。」
「なん・・で?俺・・400点取れへんかったのに・・・」
「一生懸命頑張ってるところに惚れてん。」
「ほんまに?夢じゃないよな?」
俺はほっぺたをつねった。痛かった。
「やった・・やったぁっ!!」
俺は跳ね回った。そして立花を抱きしめた。
「立花・・・好きや・・」
「あたしも・・・」
そしてキスした。立花の唇は柔らかかった。
俺は幸せやった。

                    ~END~
 

夢のカケラ

 投稿者:  投稿日:2008年 8月 2日(土)15時41分54秒
 
 天使・・・それは人のお世話をする為に現れる天界からの使いである。
これはそんな天使と1人の少年との話である。

つまらない。全国共通模試一位。・・そんなもので喜ぶ親も。退屈な授業も。すべてが・・・つまらない。

小西 周 17歳。いつもの退屈な日々。いつもと変わらない帰り道。・・・のはずだった。
「ん?なんだこれ。・・・ペンダント?」そのペンダントの先端にはこの世のものとは思えないほどきれいな宝石がついていた。
「・・・きれーだなぁ・・・」周はそのペンダントを持って家に帰った。外はすっかり暗くなっていて、空には星が出ていた。

その頃、1人の少女が東京タワーのてっぺんに降り立った。
「ひゃ~っ!きれーですぅっ!!ここが人間界ですねぇっ!わくわくするですっ☆」
少女は東京タワーのてっぺんから飛び降りると、建物から建物へと飛び移っていった。
その時、周はベットに仰向けになって寝転んでいた。
「あ~・・つまんねぇ・・・あっ!そうだ!!」
周は自分のポケットからさっき拾ったペンダントを取り出した。
「んー・・・なんかこれ不思議な感じがするんだよなぁ・・・こすってみたらなんか出てきたりしてな。魔法のランプならぬ魔法のペンダントってか?」
周は冗談半分でペンダントをこすってみた。
その時、いきおいよくガラスが割れ、1人の少女が飛び込んできた。
「なっ・・なんだぁ?!」
「見つけたですっ!ご主人様☆・・あっ!!あいさつするの忘れてたですっ;あなたのお世話をする為に天界から来た、雛ですっ☆よろしくですっ♪」
「・・・は?」

 Q.ある日突然窓から見知らぬ女の子が飛び込んできたとしたら、あなたは信じられますか?
「信じられねぇな。」
「へ?」
「だぁかぁらぁ、お前誰なんだよ?!ってゆうか窓どうすんだよ!!」
「あっ!窓ですねっ☆わかったですっ!よぉ~っし!!がんばるですっ!!」
そう言って、雛は窓の方を向いて、怪しげな・・・いや、ちょっとまぬけな呪文を唱え始めた。
「フワリ フワリ・・・ア・レイリーッ☆」その瞬間、一瞬光ったかと思うと、窓が直っていた。
「直ったです☆」雛は振り返り、自信まんまんの笑顔で微笑みかけた。
「・・・は?!い・・今の・・何?」
「何って・・・魔法ですっ♪」

Q.もし、目の前で不思議な現象が起こって、それを魔法だといわれたら、あなたは信じますか?
「いやいや・・無理でしょう。」
「へ?」
「だぁかぁらぁ、魔法とか信じられるわけないでしょう;」
「なんでです?」
「なんでってねぇ・・・もう一回説明してくんない?」
「はいですっ!!」
~説明終了~
「・・・つまり、君は天界からきた天使で、俺の世話をするために来た・・と。」
「はいですっ☆」
「これだけ説明すんのに2時間・・;;かかりすぎだろ;ってか、なんで俺なの?」
「それは・・・それですっ!そのペンダントです!!」雛は周が持っていたペンダントを指差した。
「ん?これ?これはさっき拾ったやつだけど・・・」
「それ雛が落としたです!天界の決まりで、ご主人様の決め方は、ペンダントを落として、そのペンダントを拾った人がご主人様です!!」
「へぇ~・・日本語めちゃめちゃだけど一応はわかったよ。で、何をしてくれるの?」
「えっと・・・掃除とかですかね?ぢゃっ、さっそくやるです!!」そういって、雛は掃除をやり始めた。
「掃除?・・ちらかしてるだけじゃねぇか!!」
「きゃーっ!ごめんなさいですぅっ;;」
「ってゆうかさ、魔法使えば早いんじゃないのか?」
「・・さっき気付いたんですけど、こっちじゃ一日最高でも2回しか使えそうにないです;;こっちで魔法使うとかなり疲れちゃうです;;」
「へぇ~・・・ってオイ!!」雛は窓にへばりついている。
「きれーですねぇ☆」
「あぁ・・・ここマンションの最上階だからな。」
「そういえば、ご両親はどこです??まだ見てないです。ご挨拶しないとです!」
「ここにはいねぇよ。」
「どこにいるです?」
「NY。」
「じゃあ、こんな広いとこに一人で住んでるですか?!」
「まぁな。」周は寂しそうな表情を見せた。
「ぢゃあ、今日から雛が一緒にいるです!」
「は?!お前ここに住むつもり?!」
「もちろんです!!」
「はぁ?!」どうやらしばらくは退屈しないで過ごせそうだ。
「うわっ!もぉお前動くなーー!!」
「ごめんなさいですぅっ;;」いや、むしろ大変そうだ。
「あーーーっ!!」
「なっなんだぁ?!」朝、周は雛の叫び声で目が覚めた。雛が周の部屋へ走ってくるのがわかった。
「たっ大変ですぅっ、ご主人さまぁっ!!」
「なんだよ?!」
「じつは・・・」周はごくりと唾をのんだ。
「雛、ご主人様の名前知らないですっ!!」
「・・・は?」周は時計を見る。時計の針は7時を示している。周はあきれたような顔をして雛のほうを見た。
「まさかコレだけの為に休日のこんな時間に起こしたわけじゃないよなぁ?」
「そうですよ?」  ・・・・・。
「いゃーっ(><)ご主人様起きてくださぁいっ;寝ないでぇっ;;」
周は大きなため息をついて起き上がった。
「わかった、わかった。起きるから;;」
「で、俺の名前が知りたいの?」
「はいですっ☆」
「俺の名前は、小西周。」
「ご主人様の名前は、小西周様ですねっ☆」
「あのさー・・そのご主人様っていうのやめない?」
「ぢゃあなんて呼ぶです??」
「周でいいよ。」
「ぢゃあ・・周って呼ぶですっ♪よぉーっし!!朝ごはん作るですっ!!」雛は台所へ走っていった。
「ちょっ・・ちょっと待て!雛!!」あわてて追いかける周。しかし、時すでに遅し。
「ご・・・ごめんなさぁい・・っ;;」そういって謝る雛の目の前には、黒焦げになった卵が・・・。食卓の前に並ぶおいしそーな料理。
「うわぁ~っ☆おいしそーですぅっ♪」
「はいはい。喜んでもらえてなによりですよ;;」ここに並ぶ料理は全て周が作ったものだ。
「ん~☆おいしいですっ!!周は天才ですねっ!!」
「そうか?普通だろ。」
「・・普通の料理も出来ない雛って・・・・最低です・;;」雛が落ち込んでいると
「ぶっ。あははははっ!!」周が吹き出して笑い出した。
「し・・周??」
「わりぃわりぃっ。あんまりにも雛がおもしろいから・・つい。」周が必死に笑いをこらえながら言った。
「ひっ・・ひどいですっ!雛おもしろくなんかないですぅっ(><)」
「わかったわかった。ごめんごめん。今度から俺が料理の仕方教えてやるよ。」
「本当ですかっ?!絶対ですよ!忘れちゃダメですよっ!!」
その日から、周の料理レッスンが始まった。さてさて、この2人、これからどうなる事やら;;
「周ー!!買い物いくですよ!!」雛はいつも元気だ。
「は?俺も行くの?」
「もっちろんです☆」
「やだよ。1人で行けよ。」
「だって雛ここら辺のことしりませんもん。」
しぶしぶ周も一緒に行くことになった。実は周、口ではああ言っているが、本当はめちゃくちゃ面倒見がいい。
~帰り道~
「よぉ~っし!!帰るですっ☆」
「・・・買いすぎだろ・・;」
「そんな事ないですよぉ!」
「お前さぁ、敬語やめたら?」
「えっ!で・・でも・・・周はご主人様ですし・・・」
「そんなんいいよ。別に。」
「周はいい人だね。周のところにペンダントが落ちてよかったぁ。雛は天界一の幸せ者だよっ^^」
雛の屈託のない笑顔に、周は今までないいごごちの良さを感じていた。生まれ持った頭の良さから同級生には避けられ、親が帰ってこない寂しさに耐える日々。そんな日々になれてしまっていた周にとって、雛が来てからは今まで体験した事のない日々をすごしていた。
「誰かぁ!けんちゃんを助けてぇ!!」
2人が橋を渡っていると、誰かの叫び声が聞こえた。びっくりして、川を見ると、子どもがおぼれていた。
「ママー!たすけてぇっ・・」雛は荷物をおろし、川へ飛び込んだ。
「おいっ!雛?!」雛が子供をつかんだとき、川の流れが速くなった。
「きゃぁっ!」
「雛!」
「!?周?!」
周が川へ飛び込み雛と子供をつかみ、岸に上げた。子供の母親は、何度も何度もお礼を言って帰っていった。
「周、大丈夫?」
「大丈夫だよ。」
「ホント?・・あっ!周怪我してる!大変っ!!」
雛はあたりを見渡した。そして誰もいないことを確認し
「フワリ フワリ・・・ア・レイリー☆」その途端、周の怪我が治った。
「もういっちょ! フワリ フワリ・・・ア・レイリー☆」その瞬間、周の服が乾き、温かくなった。
「へへ・・これで風邪ひかないね^^」
「あ・・・ありがとう・・」
「どーいたしまして^^」雛がそういった瞬間、雛の体が倒れた。
「あれ・・?魔法・・使いすぎた・・かな・・・」
「おいっ!雛!!?」
「ったく・・困った天使様だな。自分はずぶ濡れじゃねぇか。俺の事よりも自分のこと考えろっての。」雛は周の背中で幸せそうに眠っていた。

「周ーっ!!朝だよぉっ♪」雛です。周の家に来てもう3日め☆今日も元気ですっ!!
「おきてぇっ!!」周の部屋に飛び込み、布団を捲り上げた。
「ありゃ??いない・・・」雛は家中を走り出した。
「周?周ぅ?周?」台所から周が顔を出した。
「なんだよ?」
「あ☆いたぁ!!周、もう起きてたの??今日は早いね。」
「今日から学校だからな。」
「がっこぉ??がっこぉって何??」
「お前、学校知らないのか??学校ってのはな、勉強するところだよ。」
「へぇ・・がっこぉ楽しい??」
「さぁな。」周の顔が一瞬曇ったのに雛はきずいただろうか・・・

~学校~
今日も周は1人で教室に座っていた。
「よしっ。HRはじめるぞぉ。」
「きりーつ。れいっ。お願いします。ちゃくせきー。」
「今日は転校生を紹介するぞ。入って来い!」
「はいですっ!!」・・・ん? 周は嫌な予感がした。このしゃべり方・・・・まさか・・・・恐る恐る見てみると・・・
「みなさんこんにちはですっ♪雛といいますです☆よろしくです♪」 ・・やっぱり・・・;;その時、雛と目が合った。
「あっ!周ー!!」教室がどよめいた。・・あっちゃあー・・・
「先生っ!!雛さんがお腹が痛いらしいので保健室に行ってきます!!」
周はそう言って雛を引っ張っていってしまった。
「あっ!おいっ!!・・・なんだぁ??」先生の手、むなしく残る・・・!
「なんでいるんだよ?!」周が雛の腕をつかんだまま言った。
「なんでって・・・てんこぉせぇだから??」
「なんでお前が転校生なんだよ?!」
「それは・・魔法でちょちょいとねっ☆」周は頭を抱え大きなため息をついた。
「で?・・なんで学校に来ようとおもったの??」
「周が普段どんな事してるのかなぁ~と思って。だってね、お嫁さんになるんだからそれぐらいしっとかないとでしょ?」
「・・・はっ?!い・・今なんてゆった??お・・お嫁さん??!なっ・・なにそれ??!」
「あれ??知らなかったの??」
「知らないよ!!お前そんな事一言も言わなかったぢゃん!!」
「いったよぉっ!!ちゃんと『お世話します』って!」
「それは言ってたけど・・・それじゃお嫁になるとは言ってないじゃん。」
「えっ?!違うの?!おっかしぃなぁ・・・本に書いてあったんだけどなぁ・・・お世話します=お嫁さんになりますってことだって・・・」
「違うからっ。あと、お前の敬語の使い方も。なんかへんだから。」
「えっ!うそっ!!おかしぃなぁ~・・・まぁ、とりあえずね、雛は周のお嫁さんになるからね、周の事もっといっぱい知りたいのっ!!」
「いや、そんなかってな・・;;」さぁ、これからの学校生活どうなることやら・・・;;
雛が転校してきて1週間がたちました。雛は、もともと顔立ちがよかったので、たちまち男子人気ナンバー1☆☆性格もいいのでクラスでも人気者です。
そのころ、クラスではよくこんな話がされていました。
「ねぇねぇ、最近小西君変わったよね。」
「うんうん。顔がかっこいいのはもとからだったけど、前はもっと感じ悪かったもんね。こう・・・無愛想ってゆうか、いっつも1人でいてさ。」
「だよねー!いつからだっけ?変わったの。」
「雛ちゃんが転校してきてからだよ。」

雛が来てからというもの、周は少し変わりました。雛がいると、なんだか自然と笑顔になれるのです。もともと、顔立ちもよく、面倒見もいいので、あっという間に人気者になっていました。周自身はまだきずいていないようですが・・・。

さて、話は変わりますが、雛には2人、親友ができました。さゆ(小百合)とやよ(弥生)です。それと同時に、周にも初めて友達、親友が出来ました。
一輝と敦です。2人とも周の事をよく理解してくれる、本当にいい友達でした。
あと、面白い事に・・・さゆと一輝。やよと敦。は付き合っているのです。これがうざったいぐらいラブラブなんだな。;;
ということで、いつのまにか6人の仲良しグループができていました。こうなると、誰もが雛と周の仲を疑うわけです。実際、周もあの出来事以来雛のことを意識していました。しかし、周には1つ納得できない事が・・・
『お嫁になるていってたけど、ペンダント拾った奴の。ってことだろ?ってことは、別に俺の事好きなわけじゃないんだよな・・・』
「雛ってさぁ、周のこと好きなの?」
さゆが雛に聞いてみた。これはさゆもやよも気になってたことだ。
「好きだよぉ。」
「「やっぱりそぉなんだぁ!!」」
「ねぇねぇ、周にすきって言ったの??」
「? 言ってないよ?」
「「なんでー?!」」
「え・・?い・・言わなきゃだめなの?」
「当たり前じゃん!!言わなきゃわかってもらえないよ!」
「そっか!うん!!今日帰ったら言ってみる!!」
「帰ったら?」
「えっ!あ、いや・・っ!あの・・でっ電話!!電話するって事!!」
一緒に住んでることは、この2人にもまだ内緒だ。
「そう。がんばりなよっ!!」

~家~
「ねぇ周。好きだよ。」
「・・・っは!?な・・なんだよいきなり?!////」
「だってね、好きってゆうのは言わなきゃいけないんだって。伝わらないんだって。雛は周のお嫁さんになるのに伝わってなきゃだめでしょ?」
「お嫁さんだから好き・・・か・・・」
「え?なんか言った??」
「いや、あの・・雛は・・・さ、お・・・俺のこと・・・」周が話し出したそのとき!
がっしゃーんっっ!! 窓ガラスがわれ1人の少年が飛び込んできた。
「なっなっ・・なんだぁ??!」少年は立ち上がると雛にだきついた。
「雛ぁ~っ!!会いたかった~っ!!」

「みっ・・満ぅ?!なっ・・なんでっ・・」
「それは・・・」少年が話そうとしたとき・・・ぱこっ!
「いってぇ~っ!!なにすんだょっ!!」後ろから周が殴った。
「言いたい事はいっぱいあるが、とりあえず・・・・窓どぉすんだよ?!」
「あぁ。そんなことか。どいてろ。」
『ぢゃかぢゃか・・・ぢゃん、ぢゃぢゃぢゃん!!』たちまち窓が直った。
「こいつも魔法使うのか・・・また変な呪文だなぁ・・;;・・・っておいっ!!こら、なにやってんだよっ!!」また雛に抱きついている満を見ていった。
「なんだよ。お前には関係ないだろ。」  ズキ。満の言葉がささる。・・・関係ない・・・そうだよな・・・
「何言ってんのよ!!周は雛のだんな様なんだから!!関係ないのは満でしょー??!だいたい何しに来たのよ!!」
「何しに?わかってるくせに。連れ戻しにきたんだよ。勝手に天界を出やがって。」
「勝手に・・・?どういうことだよ。」満は周をにらみつけた。
「どういうことだよだぁ?お前のせいなんだからなっ!!」
「ちょっ・・満!!なにいってんのよ!!周のせいなんかじゃないわよ!!」
「だってそうだろ?!」
「違うっ!!違うっ!!!」
「・・・話してくれ。」周の真剣な顔に雛は黙るしかなかった。
 

~Memoly~

 投稿者:  投稿日:2008年 8月 2日(土)15時26分19秒
編集済
 

昔々ぁるところに王子様とぉ姫様がぃました。王子様ゎとても頭がょく、ぉ姫様ゎとてもきれぃで、結婚した今でも告白しに来る男が絶ぇません。2人ゎとても幸せに暮らしていました。しかし、不思議な事が1つぁりました。ぉ姫様ゎ毎晩、自分の部屋のベランダから歌っていました。雨の日も、風の日も、雪の日も。毎晩必ず歌っていました。その声ゎひどくきれぃで、どこか深ぃ悲しみがぁるよぅに感じられたそぅです。ぁる日、不思議に思った王子様がぉ姫様に尋ねました。「どぅして毎晩歌っているのか」と。ぉ姫様ゎ「分からなぃ。だけど、歌ゎなきゃいけなぃ気がする。」そぅ答ぇたそぅです。そしてぃつしかぉ姫様ゎ『歌姫』と呼ばれるよぅになりました。そのぉ姫様の名前ゎ『ユウナ』といぃました。(ちなみに、王子様ゎ『アレン』といぃました。)
ぁる夜、ユウナ姫ゎぃつものよぅに歌いました。
・・・・どぅして星がぁんなにきれぃに輝くのかしってる?
    星ゎね、大切な人に見つけてもらえるよぅに輝くの
    周りのどの星ょりもきれぃに光ろぅとするの
    だからぁんなにきれぃなんだょ

    Carino...はゃく私を見つけて
    ぁなたがすぐにゎかるよぅに目印をつけてぉくから

    Carino...忘れないで
    ぃつでもぁなたを想ってる私がぃること・・・

今日も悲しくきれぃな歌声が響きます。ただ1つぃつもと違ってぃたことゎ、見知らぬ少年に出会った事・・・・
「ユウナ・・・!」
少年ゎベランダの下から叫びました。少年の名前ゎ『ナイト』。ナイトゎユウナ姫が誰よりも愛した男でした。しかし、
「・・ぁなた・・誰?」

ぁる国の実験室でぁる実験が行ゎれた。受精卵に加工し、最強の人間を作ろぅといぅのだ。そしてその実験ゎ成功した。俺が生まれたんだ。俺のナイトとぃう名前ゎ国を守るよぅにといぅ意味らしぃ。両親もぃなぃ。人間でもなぃ。ぁるのゎ人を殺す能力だけ。俺ゎ4歳の頃から、最前線に立ち戦った。俺が12歳になった頃、やっときいずぃたらしぃ。俺がぃかに危なぃ存在かに。そして2年前、俺ゎ裏切られ、攻撃された。ぃくら殺人マシーンでも、何百人を前に無傷でゎすまなかった。俺ゎ傷だらけで水の国へ逃げた。月のきれいな夜だった。大きな城の横を通り抜け、街を通り抜けた。その時、きれいな歌声が聞こえた。その声を追い歩いていった。街外れに、大きな木と小さな家を見つけた。俺ゎ近ずいて行った。屋根の上で一人の少女が歌っていた。それが俺とユウナの出会いだった。青い髪が月に反射し、果てなくきれいだった。傷口から血が流れ出ていた俺ゎもぅ限界だった。頭がくらくらする。俺ゎ木にもたれかかった。耳に届く歌声が心地よく、俺ゎ眠ってしまった・・・・。

ふっと目が覚める。
「ここ・・・どこだ・・?」俺はベットの上で寝ている。きれいに包帯までまいてある。
「あっ!目、覚めた?」
青い髪の少女が俺に話しかける。昨日は暗くて分からなかったが、果てなく美人だった。
「びっくりしたよぉ。なんか血だらけの人が倒れてるんだもん。なんかあったの?」
少女の問いかけに俺は答える事が出来なかった。しばらく黙っていると、
「ま、いいや。私ユウナ。あなたは?」
「・・・ナイト・・・」
「そっか。ナイトか。家はどこ?」
「・・ない。」
「じゃあ、好きなだけいたらいいよ。」ユウナはそう言って明らかに怪しい俺に笑いかけた。
ユウナはよく笑う奴だった。いつでもどこでも笑っていた。ずっと戦場に居た俺にとっては、初めての経験で、どうしたらいいか分からなかった。でも、すっごく居心地がよくてぃつしか、ここを失いたくないとさえ思うようになっていた。
ユウナは不思議な奴だった。みんなが怖がったこの赤い髪でさえ、きれいだと言った。
俺は傷が治った。だけど、もう少しここに居たかった。ユウナはそんな俺の気持ちにきずいたのだろうか。笑顔で
「もぅちょっと居てよ。」
といった。俺はこれが永遠になればいいと思った。

ユウナは、やはりもてるようだった。街に買い物に出ると必ず2,3人の男に襲われる。今日も、街へ買い物に行くと、
「ユウナちゃんっ、すきだぁっ!!」と、男が飛びついてくる。
「ふぇ?」ユウナはとろいのでかわせない。かわりに俺がユウナの前に立ち、片手で制止する。ユウナは
「ありがとぉ。今まで困ってたんだぁ。ナイトのおかげで助かっちゃった。」
といった。俺は、どんどんユウナの事を好きになっていった。

朝、目覚めると怖くなる。この幸せが全部夢じゃないかと、不安になる。歌が聞こえる。今日も夢じゃなかったと、安心する。
「おはよう。」
「おはよう、ナイト。」ユウナが俺に微笑みかける。
「最近ずっとその歌、口ずさんでるよなぁ。何ていう曲?」
「私が作ったんだぁ。だからね、まだ名前もないし、歌詞もないの。」
ユウナが少し照れながら笑う。
「すげぇな!その曲、俺の中でユウナのイメージ。なんかユウナっぽい。」
俺も笑った。笑ったと言っても、最近少し笑えるようになったばかりなので、ぎこちないが。
「私のイメージかぁ・・・そぉだっ!名前!!ナイトがつけて!!」
「えっ!俺?いいのか?」
「うんっ♪」
「んー・・・Carino・・・とかどぉ?」
俺は昔聞いた事のある言葉を口にした。確か意味は「愛しい人」。
「Carino?わぁっ!素敵♪どういう意味なの?」
「・・・内緒・・」
「え~!気になるなぁ・・・でも、気に入った!!この曲の名前はCarinoだ♪」
ユウナは無邪気に笑う。
好きだ。なんでかなんて分からない。でも、この気持ちは愛って言うんじゃないだろうか。
(バターッンッッ!!)
勢いよくドアが開いた。そしてそこには銀色の髪をした男が立っていた。
「ユウナ、迎えに来たよ。」
「だから、行かないって何回もいってるでしょ!」ナイトはユウナの前にでた。
「お前・・だれだ?」男が聞く。
「お前こそだれだ?」
「俺?俺はアレン。ユウナの婚約者だ。」
「だからっ!ならないっていってるでしょ!!」
ユウナが叫ぶ。
「つれないなぁ。ま、そこがまたかわいいんだけど。」アレンはユウナに触れようとする。
「触るな。」
ナイトが腕をつかむ。
「なんだぁ?離せよっ!」
ナイトの手を振り払おうとする。しかし、ナイトの手をほどく事はできない。
(こいつ・・・っ!)
「お前、名は?」
「・・ナイト。」
「ナイトか。今日は引き下がってやる。だが、ユウナは俺のものだ。ずっと昔からな。」
アレンはそう言って去っていった。
俺はユウナの事を何も知らない。改めて思い知ったんだ。

俺ゎあの頃ユウナの事を何も知らなかった。なぜこんな街外れに一人で住んでいるのか。なぜァレンに追われているのか。何も・・・

ユウナゎ俺の方を向き、笑った。しかし、それゎいつもの屈託のなぃ笑顔でゎなく、悲しみを隠し、無理に笑った笑顔だった。俺ゎ何も知らない。どぅしてユウナが悲しんでいるのかも。今、ユウナに何をしてあげればいいのかも。そんな自分が許せなかった。ユウナゎ散々俺を助けてくれてるのに、俺ゎユウナに何もしてやれない。だけど、ユウナに悲しい顔ゎさせたくない。悲しい顔ゎ見たくない。気がつくと、俺ゎ、ユウナを抱きしめていた。
「ナ・・ナイトっ?どぅしたのっ??」ユウナゎ驚いて俺を見た。
「俺ゎ、ユウナの過去に何があったのか知らないけど、悲しい時ゎ泣いていぃんだ。無理して笑う必要なんかないんだ。」
「何言ってんの?私悲しくなんか・・・」
ユウナがそぅ言って笑おうとした時、ユウナの瞳から涙が溢れてきた。
「あれ・・・?なんだろっ?なんか・・涙が止まんないっ・・っふぇぇ・・ひっく・・っく・・ふぇ・・」
ユウナゎ何か張り詰めていたものが切れたように泣き出した。俺ゎ、ユウナを抱きしめていた。

しばらくたって、ユウナが少し落ち着いてきた。そして、話し始めた・・・・
「私ね、昔火の国に住んでたの。火の国ゎ、王様の言う事が絶対で、逆らっちゃぃけなかった。それで、今から5年前、私が11になった年。王子様が11になった年でもあったの。火の国でゎ、王子様ゎ11になると婚約者を決めるって決まりでね。女の子ゎ生まれるとある書類に手形を押す事になってるの。王子様が婚約者を決めるとき、女の子にその書類をみせて、『昔から決まっていた』って言うために。そしたら、そのこゎもぅ逃げられない。そしてその年、国中の女の子を集めて、王子様の婚約者を選んだの。その王子様って言うのが、アレンでね。アレンゎ私を選んだわ。この国じゃ王子様の婚約者って言うのはいい事だけど、火の国じゃ、最悪な事だったの。横暴な王族の一員になるんだもの。みんな嫌がってた。私の両親もね。必死に抵抗したけど、だめだった。王様の言う事ゎ絶対だからね。でも、両親ゎあきらめてなかった。私がもぅいいよ、私アレンと結婚するからって言っても、大丈夫。絶対にそんな事させないから。幸せにしてあげるからって、笑って言ってた。それから一年ぐらい経ってから、ある日ぉ父さんが『水の国に家を買ったから、ここから逃げよう』って言ったの。両親ゎずっと考えてたみたい。火の国から逃げること・・。お父さんゎ『街外れで、小さな家だけど、3人で暮らすにゎ十分だし、大きな木も横にあって、きっと気に入るよ』って言ってた。」
ユウナゎ泣きながら、たどたどしく話してくれた。
「だけど、火の国から逃げる日、お父さんとお母さんゎ殺されたゎ。王の家来に。お母さんとお父さんが『逃げなさい。そして幸せになって。笑って暮らして。人を・・憎んだりしないで・・』って言ったの。『いやっ。死なないで。一緒に行こうよ。ねぇっ・・』って言っても、『行きなさい。早くっ。私たちゎもぅ無理だから・・。せめてあなただけでも・・・幸せになるの。』私、逃げた。走って逃げた。泣いて逃げた。後ろでお父さんたちの声が聞こえたの。愛してるって・・・」
ユウナは俺にしがみついて泣いた。
「私のせいで死んじゃったのっ。なのに、私おかぁさんたち、置いてきちゃったっ。助けてあげられなかったっ。私も愛してるよって、言えなかったっ・・。ずっと一人で寂しかったのっ。だけど、泣いちゃだめだって思って・・っ。」
俺ゎユウナをぎゅっと抱きしめた。ただ、ぎゅっと抱きしめた。

そのころ、火の国ではアレンが不敵な笑みを浮かべていた。
「・・ナイト・・あの赤い髪に赤い眼。どこかで見た気がしたんだ。まさか、あいつだとゎな・・・」

朝、俺ゎ頬に何かやわらかいものを感じ、目を開けた。俺の腕の中にゎユウナがいた。ユウナゎ泣きつかれて眠ってしまったのだ。透き通ったきれいな白い肌。少し癖のある青い髪。全てが愛しかった。たとえ命が尽きようともユウナを守りたい。そぅ強く思った。
ユウナが目を覚ました。
「・・おはよう^^」良かった。いつもの屈託のない笑顔だ。
「おはよう^^」俺もつられて、自然に笑顔になる。
「あっ!!今の笑顔今までで一番いいょ☆」
ユウナがそんな風にほめてくれたから、ちょっと赤くなった。俺達は向かい合って笑った。
その日から、俺達は今まで以上に仲良くなった。幸せだった。
だけど、幸せゎそぅ長くゎ続かない。俺にゎ秘密があったから。ばれないで欲しかった。だけど、人生そんなに甘くない。アレンがやってきたのだ。
ユ「またきたのっ!?もぅ帰ってよ!!」
ア「そうはいかないよ。大切な君の隣に殺戮マシーンがいるんだからね。」
ユ「え・・?」
ア「なぁ、そぉだよな。ナイト。」俺ゎ何もいえなかった。
ユ「ナイト!?どういうこと!?」
ア「そいつはなぁ、うちの国の・・火の国の戦争のために作られた、殺戮マシーンなんだよ!!人間を基準にして作ったのが間違いだったみたいだな。まさか逆らうとゎなぁ。おもいもよらなかったもんなぁ。。。」
アレンが不敵な笑みをうかべる。
ア「まぁ、そういうことで、そいつの横に居るのは危険だからなぁ。ユウナこっちこいよ。」
ユ「やだ。」
ア「何言ってんだよ!そいつと居ると危ないんだぞ!!こっちこい!!」
ユ「やだ。」
アレンは少し頭にきたようだ。
ア「おいっ。ユウナをつれて来い。」兵隊がユウナの腕をつかんだ。
ユ「ちょっ・・やだっ!!」
ナ「ユウ・・・・」
俺ゎ出しかけた手を引っ込めた。俺にユウナを引き止める資格なんてないと思ったからだ。アレンの言う通り、俺ゎ殺戮マシーンなのだから。
ユ「ナイトっ・・助けてっ!!」
ナ「でもっ・・俺にゎそんな資格・・・そいつと行った方がきっと幸せに・・・・」
ユ「ばかっ・・!!そんなの関係ない!!ナイトゎいい子だもんっ!!殺戮マシーンなんかぢゃないっ!!私の幸せ勝手に決めないで!!私、ナイトと一緒ぢゃないと幸せなんかになれないょっ・・!!ナイトっ・・・すきなのっ・・・だいすきっ・・!!」
うれしかった。俺ゎユウナのもとへかけつけようとした。
ア「絶対にユウナを渡すなっ!!」
俺は生まれて初めて、殺戮マシーンで良かったと思った。俺にユウナを守る力があって良かったと。俺は兵隊を投げ飛ばし、ユウナのもとへ駆け寄った。でも殺しはしない。ユウナが悲しむと思ったから。俺はユウナを抱きしめた。そしてそっと口ずけをした。
ユ「ナイト・・・っ!大好きっ!!」
ナ「俺も・・・」
ア「くっそ・・・っ!今日のとこゎ引き下がってやる。だけど次は必ずユウナをもらう!しょせんお前ゎうちの国の戦争のぉもちゃなんだから・・・っ!!」

俺はユウナに救われた。ずっと、誰かに言って欲しかった。殺人マシーンなんかじゃないって・・・一人じゃないって思わせて欲しかった。
「ねぇ、ナイト。私ね、歌うよ。ナイトが寂しくないように。いつでも、どこでも、ずっと・・・そぉだなぁ・・・Carino!歌おうかなっ♪歌詞作ってさっ!!・・・約束ね?」
ユウナの笑顔を、守りたい。

次の日。隣にユウナがいる。こんな幸せな事はない。
「おはよう^^」
「おはよぅっ^^」俺達は、ふっと互いに笑った。
その時、ドンッと、銃の音がした。
「ナイト!!出て来い!!」
アレンがやってきたようだ。俺は外に出た。家は銃を持った兵隊達に囲まれていた。
「ユウナを渡せ。」
「やだね。」
「っ!!仕方がない。手荒な事はしたくなかったが・・・打てぇっ!!」
「ユウナ!!絶対にそこ動くなよ!!」
俺は銃をかわす。戦争のために生まれてきたんだ。こんなの余裕だ。
「ちっ!もっと打て!!」
「あたらねぇよ。」その時、兵隊の一人が手を滑らした。
「あっ!」その弾はユウナに近ずいて行った。
「ユウナ!!」俺はとっさにユウナの前にでた。
「うっ!」弾があたった。
「ナイトっ!!」ユウナが駆け寄ろうとする。
「来るなっ!!来るな・・・絶対に・・」
あたりどころが悪かったらしい。体に力が入らない。
「はっ!ちょうどいい。ユウナを奪え!」
「ちょっ・・・やだっ!」兵隊がユウナを抱えていく。
「ユ・・ウナ・・・ユウナっ・・!」俺は最後の力を振り絞り兵隊に殴りかかった。
「うっ!こいつっ・・!」兵隊は地面に倒れた。
「ユウナ!!こいつっ!!」次はアレンがユウナを連れて行こうとする。
「やだっ!ナイトっ!!」
「ユウナ・・・っ!」そのとき、さっき地面に倒れた兵隊が銃を放った。
「っかはっ・・・!」俺はその場に倒れこんだ。
「っ・・!いやぁぁぁ!!ナイトっ!ナイトっ!!ナイトォっ!!」
泣きじゃくるユウナをアレンが連れてゆく・・・。俺は薄れ行く意識の中、ユウナを追いかけようとした。だが、体がうまく動かない。ついに俺は倒れてしまった。
「ユウナ・・・・」

「おい!君!!大丈夫か!?」
ナイトゎ通りかかった老人によって、老人の家へ連れてかれた。もっとも、ナイトは覚えていないが・・・。
「ん・・・」
「おっ!起きたか。」
「!!ここゎどこだ!?」
「ここはわしの家だ。」
「!?」
「散歩に行ってたらお前が倒れてたんだ。ひどい怪我でな。」
「お前・・誰だ?なぜ俺を助けた。」
「ふっ・・ただの医者だよ。医者だからお前を助けた。」
「そうか・・・礼はいおう。ところで、俺はどれくらい眠っていた?」
「2年ぐらいかな・・お前はびっくりするぐらい治りがはやかったからな。」
「2年!?俺はそんなに眠っていたのか?!・・っ!早く行かないと・・っ!ユウナっ・・!!」
「ユウナとゎお前の愛しい人か?」
「あぁ。」
「なら、急いで行け。女を待たす男は最低だぞ。」老人は笑っていった。
「ありがとう。俺、行くわ。世話になったな。」
「おいっ!ユウナっていえば、隣の火の国の姫さんがユウナっていったけな。たしか歌姫って呼ばれてて・・・」
「歌姫?」
「あぁ。なんでも毎晩歌ってるらしい。だから、歌姫・・・」
(ユウナだ!約束・・・覚えててくれたんだ)
「ありがとう。じゃあな。元気で。」
「おぉ。がんばれよ。」


・・・こうして今に至るわけです。久しぶりに会ったユウナ姫の言葉に戸惑うナイト。
「ユウナ・・・?俺だよ?」
「誰?」
「ユウナ・・・・。」
ユウナ姫は、あまりのショックに記憶を失ってしまっていたのです。しかし、ナイトとの約束だけは忘れず、毎晩歌っていたのです・・・・。

ユウナ姫はナイトに会ったときから、不思議な感覚を感じていました。
(なんだろう・・・あの人を見ると、胸が苦しくなる。なんだろう・・・この気持ち。)
「あの・・・」
ユウナ姫がないとに声をかけようとした時、ユウナ姫の背後に黒い影が・・・!
「ユウナ姫!!あなたが好きです!俺と一緒に・・・死んでください・・・っ!」
「ひゃっ・・・!」その男がユウナに包丁を向けた。
「ユウナ!!」ナイトはユウナの居るところまでひとッとびすると、包丁をけった。そして、男を床にたたきつけた。
「おい。二度とこんなことするな。次やったら・・・殺してやるっ・・・!!」
「ひぃ~っ!」男は逃げていった。
「ユウナ。大丈夫か?」
「っ!怖かったっ・・・!」ユウナ姫はナイトに抱きついた。その時、
(あれ・・・私、知ってる。この人知ってる。なつかしい・・・。誰だった・・・?)
ユウナ姫の瞳から涙かこぼれた。
「ナ・・・イト・・?」ユウナ姫は口を塞いだ。
(え?今あたし・・・)
「ユウナ?今・・・ユウナ!!」ナイトはユウナ姫を抱きしめた。そして口ずけをした。
(!!)
その時!!ドアが勢いよく開いた。
「ナイト・・・!?お前・・・」
「アレン・・。」
「くっそ・・・!生きてたのか・・・!」アレンがナイトに銃口をむけた。そして・・・撃った。
「ユウナ・・・?」なんとユウナ姫がナイトの変わり身になったのだ。
「ご・・めんね・・・忘れたりして・・・ごめんね・・・だいすきだよ・・・」
「お・・・俺じゃねぇ・・・おれじゃねぇっ!!」アレンは逃げ出した。
「ユウナ!!ユウナ!!」
ユウナからはどくどくと血が流れ出ている。ナイトは走り出した。
「たのむ・・・!もってくれ・・・!!」
ナイトが向かった先・・・。それはあの老人の家だった。
「!!おまえは・・・」
「たのむ!こいつを助けてくれ!!たのむっ・・・!!」
「これは・・・たいへんだ!!はやく家の中へ・・・!」そして、老人の手術が始まり、終わった。
「ユウナは大丈夫なのか??」
「あぁ。お前に比べたらかわいいもんだよ。だが・・・しばらくは目覚めんだろうな・・・。」
「それでも、生きてるなら・・・・よかった・・・・」

それから3年後・・・
ユウナは永い眠りからさめ、ナイトといつまでも幸せに暮らしました。


---------おしまい。---------
 

  

 投稿者:    投稿日:2008年 8月 2日(土)15時18分24秒
編集済
   

マリン・ノート

 投稿者:  投稿日:2008年 8月 2日(土)15時16分57秒
 


マリン・ノート 投稿順 作者 投稿日

01 凛 2005年2月10日 15:59:31

 ここは「水鈴王国(スイリンオウコク)」。きれいな水が流れ、きれいな花が咲き誇る。そんなすてきな国での物語り・・・
一人の少年が歩いていた。真紅に髪に瞳。きれいな顔なのだが、その奥に深い憎しみと悲しみがあるような・・・そんな少年だった。
「歌・・・?」
少年はそうつぶやくと、歌の聞こえる方へ歩いていった。
木の上に座って歌っている少女を見つけた。少女の歌はとてもきれいで、憎しみや悲しみ、すべてが消えていくような気がした。と、少年はその場に倒れてしまった。
「・・・ん・・・」
少年は目を覚ました。
「大丈夫??」
心配そうに覗き込んでいるのは、さっきの少女だ。透き通った青い髪。瞳も同じ色をしていた。
「びっくりしたよー。下見たら人が倒れてるんだもん。」
少女はにっこりとわらっていた。
「お前・・俺が怖くないのか・・・?」
「?何のこと?」
少年の質問に少女は首をかしげた。
「見ただろ。俺の額の傷。」
この国には、百万年に一度、額に傷のある子が生まれ、その子の力により国は滅ぼされる、という言い伝えがあったのだ。
それを聞いた少女はふっと笑い、
「傷だらけ。手、出して?」
といって、傷だらけの少年の手をつかんだ。
「おいっ!きーてんのかよっ!嘘じゃねぇぞっ!現に俺には変な力が・・・・」
少年は驚いた。手の傷が、少女が手をかざすだけで治っていくのだ。
「お前・・・」
少女はにこっと笑い
「これが私の力。他にも結界とか使えるよ。」
と言った。
「お前も額に傷があるのか?」
「ううん。傷はないよ。」
少年は少し悲しそうに
「いいな。傷がなくて・・・」
と言った。その時なにか温かいものが少年をつつんだ。
「大丈夫。大丈夫だよ。ずっと寂しかったんだよね。」
「何分かったような口きいてんだよっ!俺の気持ちは誰にもわかんねぇっ!何もしてねぇのに、みんなから嫌われる俺の気持ちなんて・・・!俺が何したってんだよっ!この国を滅ぼすだぁ?こんな国滅ぼしたっていいことなんにもねぇんだよっ!離せよっ!」
少女ははなさなっかった。
「つらいよね。分かるよ。私も一緒だもん。分かってるよ。君が何にもしない事。分かってる。もう一人じゃないよ。私が居るから・・大丈夫だよ。」
泣きながら、少女はそう言った。
(俺は・・ずっと誰かにそういって欲しかったのかもしれない・・それにしてもこのドキドキはなんだろう・・・)
少年は、少し、気持ちが軽くなった気がした。目の前に居る不思議な少女に助けてもらったのだ。少年はきずいていなかった。歌を歌う少女を見たときから、少年は少女に惚れていたのだ。少年はいつ気がつくのだろう。自分が恋をしていることに。
「私、恋(レン)。速水恋(ハヤミレン)!!よろしくね^^」
「俺は真(シン)だ。」

「・・・見つけたぞ・・青い髪の乙女・・!」
物陰で誰かがそうつぶやいた。しかし、恋たちはしるよしもなかった。

・・・・・つづく・・・・・・。


02 凛 2005年2月11日 05:18:05

 物陰から誰かが飛び出してきた。
「やっと見つけた・・!青い髪の乙女・・!」
物陰から出てきた男はそう言った。
「ふぇ?・・っひゃぁっ!」
男は恋を連れ去ってしまった。
「恋っ!」
真は慌てて後を追いかけた。

「・・きゃっ!」
恋はどこかの森に連れてこられた。
「いったぁい・・・ここ・・どこ・・?」
恋はあたりを見渡した。するとさっきの男が現れた。
さっきはよく見えなかったが、男の瞳は真と同じ真紅、髪はきれいな銀色をしていた。
「・・あなた誰・・?」
恋は聞いた。
「僕は海(カイ)。はじめまして、青い髪の乙女。」
海は丁寧にあいさつをした。
「あっ・・はじめまして。恋です。あのさっきから青い髪の乙女って・・・?」
恋はずっと不思議に思っていた事を口に出した。その時。
「恋っ!!」
真が息を切らしてやってきた。
「真ちゃんっ!」
「無事かっ?!・・・おい。なんのつもりだ。なんで恋をさらった。」
真は海をにらんだ。
「ふっ。その様子だと何も知らないようだな。」
海は意味ありげに言った。
「どういうことだ・・」
真は問い詰めた。
「いいだろう。教えてやる。あの言い伝えの続きをな・・・!」

・・・・つづく・・・・・・


03 凛 2005年2月11日 05:18:05

 「百万年に一度額に傷のある子が生まれこの国を滅ぼすだろう・・・ここまでは誰もが知ってる言い伝えだ。だがこの話には裏がある。額に傷のある子は1人じゃない。」
真と恋は驚いた。今まで傷があるのは真1人だと思っていたからだ。
「1人じゃない・・?!」
「お前も知っているだろう?額に傷のあるやつには不思議な力があるって。」
「あぁ。」
「その力は『ノート』と呼ばれる。その力があるのは全部で5人。そしてその力は一人一人違う。お前は『ファイアー・ノート』らしいな。」
海がふっと笑い、言った。
「ファイアー・ノート・・?」
「そうだ。お前の力は火だろ?」
「なんで分かった・・・」
真が真剣な顔でいった。
「ふっ。簡単なことだ。髪の色だよ。それで分かる。」
海が少し得意げに言った。そして恋の方を見て、
「恋は『マリン・ノート』だ。」
「!?」
2人は驚いた。
「私、傷ないよ・・?」
恋が言った。
「君に力があるのは青い髪の乙女だからだ。」
「青い髪の乙女・・・?」

・・・傷のある子たちのなかで一番強い奴が力を手に入れられる。力を手に入れるためには全てのノートに勝ち、青い髪の乙女を手に入れることだ。全てのノートに勝利しても青い髪の乙女がいなければ力は手に入らない。ただし、青い髪の乙女にも抵抗力としてマリン・ノートを与える。戦え、ノート達。・・・・

「これが言い伝えの一番大事なところだ。自分の立場が分かったか?恋。」
「んーと・・・それって、私が正しい考えを持った人を選べばこの国は滅びないってことだよね。」
恋がそう言うと、海が笑った。
「ふっ。変な女だな。お前。普通怖がるところなんだがな。おもしろい。気に入った。お前、俺のもんになれ。」
そういって、恋に触れようとした。
「触るなっ。」
真が海の腕をつかんだ。

・・・・つづく・・・・・・


04 凛 2005年2月13日 07:29:59

 「ひとつ、聞きたい事がある。」
真はただならぬ雰囲気で言った。
「なんだ?」
「なぜ俺に教えた。恋が必要なら、俺に教えなくても、連れ去るだけでよかったはずだ。なのにお前は敵である俺にわざわざ教えた。なぜだ。何を企んでいる・・・!」
真が海をつかむ手に力が入った。海はそれを振りほどき言った。
「あぁ。言い忘れてたな。力を手に入れるためには、恋が居るだけじゃダメなんだ。恋がその男を愛してないとだめなんだ。だから、恋にちょっとでもいい印象を与えとこうと思ってな。だからわざわざお前に教えたんだ。あーあ。ばらしちまった。まぁいい。一緒に居たらそのうち好きになってくれるさ・・・!」
海が手を前に出し叫んだ。
「ウィンドッ!」
その瞬間、恋に向かって風が・・・!!
「恋!!」
真は慌てて叫んだ。
「アクアっ!」
恋はそう唱えると結界を張った。
「!・・やるな・・。ますます気に入った!俺は絶対お前を手に入れるぞ!とりあえず今日は引いてやるよ。まぁ、あきらめるつもりはないから、安心しろよっ!」
海はそう言うと空中へ飛び跳ねた。
「あっ!恋!!気をつけろよ!お前の事狙ってる奴多いから。」
そういい残して海は去っていった。
「・・・何だったんだろ・・でも、悪い人じゃなさそうだね。」
恋がニコッと笑いそう言うと、真はちょっとむっとして、
「どこが?めっちゃ悪い奴じゃん!」
と言った。
「え~?そうかなぁ?」
「そうだよっ!!」
(なんでこんなにイライラすんだろ?)
それは恋の事スキだからでしょっ!!とことん鈍い真・・;;

「恋、これからどうするんだ?」
「ん~・・どうしよっかな・・・とりあえず、冒険しよっかな!まだ、知りたい事いっぱいあるしねっ!!」
恋がとびっきりの笑顔で真に笑いかけた。
「!・・////しょーがねぇな。あぶねぇから俺が一緒に行ってやるよっ///・・・俺も関係あるみてぇだしな・・・」
そんなこんなで二人の旅は始まったのでした。

・・・・つづく・・・・・


05 凛 2005年2月15日 19:07:01

 「恋っ!!」
後ろから誰かが恋を呼んだ。
「祐(ヒロ)っ!?どーしたのっ?ってゆうかなんで居るのっ??」
真はかなりむっとした。
(ひろぉ?呼び捨てかよっ!!)
「恋、俺も一緒に行くよ!」
祐は言った。
「何言ってんの!?無理だよ!!だってこの旅は・・・」
「知ってるよ。俺・・」
そう言って祐はバンダナを取った。
「俺もノートだから・・・だまっててごめん。でも俺、力とか別にして恋が欲しいんだ。俺がノートって言ったら、力のためだって思われると思って・・・でも、俺恋のこと守りたいから、好きだから・・・!!」
祐は真っ赤になって言った。
「・・誰だよ、こいつ。」
真はかなり怒った様子で言った。
「・・幼なじみなんだ。祐ってゆうの。こっちは真ちゃんね。」
恋が言った。そして考えて
「ん~・・・ぢゃあ、祐も一緒に行く?」
「うん!ってゆうか、恋、返事は・・・?」
「ゴメン・・・まだよくわかんないや・・・」
「ま、いいよ。あきらめるつもりないから。当然、あんたに負ける気も。」
「あぁ?」
火花を散らす2人。でもそんなこと知らない恋は
「よぉし!!出発ー!!行くよっ!」
2人に満面の笑顔を見せる。
『お・・・おぅ////』
やっと旅が始まったのでした。
 

幼なじみ

 投稿者:羽柴 蝶  投稿日:2008年 8月 2日(土)15時14分34秒
 


幼なじみ 投稿順 作者 投稿日

01 羽柴 蝶 2005年2月10日 22:54:22

ガラガラッ バシッ
「コレ、どーぞ」
机の上に「退部届」という紙をおく。
彼女は部長の驚いている姿をチラリと見ながらも無視してスタスタと去った。

とうとうやった。
だって私居る意味無いしね。
祐が居たから頑張ろう、やってやろう、って思ったのに・・・もう駄目。
見るたんび違う女の子連れて・・・そんな所見たくないよ。
祐というのは私の幼なじみで本名笹川祐汰。
昔からの悪ガキ仲間でなんかずっと一緒にいた。
そして私は祐が好きだ。
ずっと、昔から。
けどもう祐の隣に居る事、そばに居る権利なくなっちゃったみたい。
賞味期限切れ。
もうアナタ要らない・・・。
私が居るから祐は本当の。
本命の彼女見つけられないのかも知れないし。
祐を自由にしてあげよう。
もう関わらないようにしよう・・・
そう心に決めたのだ。

「おい、東宮。祐汰に言わないで辞めて・・・・良いのか?」
急に廊下を歩いていた時に部長の桜坂が声を掛けた。
「何で?別に祐に許可取らなきゃいけないわけじゃ無いでしょ?」
「本当に良いのか・・・?」
桜坂があんまりにもしつこく言うので
「いーの。祐にはたぁぁっくさん周りに女の子居るし、メネージャーが欲しいんならその子たちに頼めば?」
言いたい事全部行ってスタスタと。
早足で逃げこむように教室へ私は入った。

みんなして何なの?
私居なくても良いじゃない。
祐を解放してあげたい、って思うのは悪いコト・・・?

ピピピピピピ・・・
携帯が鳴った。
先生はもう注意するのに疲れたのか知らんふり。
こっちもそっちの方が嬉しいし。
私も周りの目を気にせず携帯を開く。

ったくこんな時に。
バッドタイミングで聞きたくも見たくもないアイツからのメールだった。
私はイライラしながらもチェックする。

『マネージャー辞めたんだって?どうして?もしかして怒ってる?』

誰のせいで怒ってるんだと思ってんの。
そう想いながらも心配してメールを送ってきてくれたコトが嬉しかった。

ピピピピピ・・・・
『別に。何も怒ってないけど?』

送信しました。の文字が移る。
そしてすぐに

『え~絶対怒ってるでしょ?いっつもそうじゃん。本当に怒った時
 は雛ムシするもんね』

それは図星で、やっぱり良く見てるんだなぁとクスリと笑った。
それだったらこういう態度が一番イラつくってコト分かってるよね祐は。
なのに・・・・何で?
もう怒る気にもなれなくて。
そのまま携帯を閉じた。

休み時間になり友達の所へお喋りにでもしに行こうかな、と思った時にまた携帯が鳴る。

『なんでムシするの?きちんと説明して』
『だーかーらー何もない。マネージャーするコトに飽きたわけ』

もうコレでとどめだ、と想いながら返信する。
『じゃあ・・・俺のコト嫌になったとか?』

もうこりごりだ。
何話しても無駄だと思って席を立とうとしていた時。
後ろからグッと何か惹かれたような感触が。

「またムシすんの~?悪い子だね。雛ちゃんはvv」
生声?!とビクついていると。
・・・嫌な予感。
「何何?感激のあまり声も出ないとか?」
祐は私を抱きしめて。
「良い所があるんだよね。きっと雛の機嫌も良くなると思うトコ。・・・抜けようぜ!」

そして私は祐に無理矢理手を引かれて教室を出た。

「~・・・っ。何すんの?!」
私抵抗。
だって祐何するか分かんないんだもん。
幼なじみだけどやっぱり危険信号を出す。
「あ~ゴメンゴメン。ちょっと見せたいモンあって・・・」
祐の目線の先は。
「桜の木?」
私クエスチョンマーク。
だって今の季節は未だ桜の季節ではないからだ。
「うん。そうだよ。今の時期、珍しいよね?・・・雛、見かけによらずピンク好きだったでしょ?強がってたけどね」
祐がにっこりと微笑んで私を見る。

私ビックリ。
だって祐がそんなコトまで知っていたなんて。
幼稚園のお遊戯会でも女の子みんな自分から「お姫様」になりたいって手を挙げてたけど私は挙げなかった。
私は人より身長が高くソレがコンプレックスで。
女の子っぽいものは似合わない、と思っていたってコト。

「図星でしょ?絶対そう思ったんだ。雛・・・・もう身長のコトなんか気にしなくて良いんだよ?」

優しい顔で頭を撫でる。
暖かい手だった。

こんなにも人って暖かいのか、と思ったほどに。
そして祐は私よりも身長が高くなっていた。

だんだんと祐に心を開き始めていた時。

「祐~vv」
向こうからふわふわしたセミロングの可愛らしい声をした女の子が走ってきた。
「どうしたん?」
祐は驚いた顔をして女の子に尋ねる。
「愛、祐がなんかー女の子と教室から出ていったって聞いて。居て も経ってもいられなくなって探してたの・・・v」
愛という女の子は上目遣いで祐を見る。

コイツ・・・新一年生の永澤愛だ。
カッコ良い男が好きで、男ったらしと1学期の頃から有名だった。
私の居た部は美形揃いで皆が皆狙われていた。

チラッと横目で祐を見ると、しまったという顔をしていた。

まったく。
この男は・・・チラホラ女の子と喋ってるんじゃないのっ!
しかもまた違う女の子。
もう嫌だ。
やっぱり・・・・もうやりきれないよ。
嫌だけど仕方ない。

「愛さん。祐のコト頼んだわよ!」

そう言って走った。

もうサヨナラ。
桜の木、綺麗だったよ。
素敵な夢をありがとう。
もう会わない。
最後に二人で話せて良かった。

ありがとう。
サヨナラ 祐・・・・。

祐、もう私の事忘れて?
私は大丈夫。
だから、自由になってイイんだよ・・・?

家に帰ってお母さんが目を腫らした私を見てビックリしていた。
まぁ、ビックリしない方が凄いけど・・・
ソレをムシして私は二階へ上がった。
大好きだったよ祐・・・
でももう・・・
私は飾ってあった二人の写真を壁に投げつける。
ガラスが割れて。
「痛ッ・・・」
いじめられた時にだってヘラヘラしてた私なのに。
うずくまって、声を押し殺して。
泣いた。
もう戻らない、戻れない。
このガラスのように・・・バラバラ・・・。
私はベッドに頭をうつぶせていつのまにか夢の中へ入っていった・・・
「おはよう」
朝が来ていた。
なんか変な感じだ。
あの後時間は止まったんじゃないのか?地球は滅んだんだろう?もう何もかも、終わったんだろう?
祐は私の前から居なくなった。
いや、私が先に・・・サヨナラしたのだ。
サヨナラって言われるのが怖くて、逃げたんだ。
だから・・・先にお別れしよう、って。
また涙ぐむ。
ヤダ。ヤダ。ヤダヤダ。ホントは・・・
別れたくなかったんだろう?一緒に・・・いたかったんだ。
ずっと、ずっと。
大好き。すっごい好き。
だからいっちばん幸せになって欲しいの。
このキモチ、私の胸の奥にしまって置くから。
祐が結婚する、とか聴いたら多分泣いちゃうかも知れないけど。
大丈夫。安心して・・・?

チラッと時計を見てみる。
あともうお昼過ぎてる・・・学校、もう始まってるよね。
もういいや、休もう・・・。
ベッドの上でそんな事を考えていた。
「祐汰」というコトバはもう・・・受け付けなくなっていた。体全体で否定する。
考えない。いや、考えれなくなった。
キモチはずっとずっとむこうの方に押し上げられた。
「雛ーっっ」
大声で叫ぶ声がする。
なつかしい、愛しい人の声。大好きなトーン。甘めだけど男らしいの。
けど・・・ウソだよね?夢だ、夢。
頭がズキズキする、また、忘れ去ろうとした。けど
「ゴメン。ホント俺馬鹿だよ。雛。近すぎて、いっつも隣にいるから・・どんなに雛が大切か、分からなかった・・・女の子と遊んでたのは、雛が男子と喋ってるのみて、なんか腹立って・・・だから・・ホント悪いことした・」
祐の声、ドンドン小さくなっていく。
すっごく・・・どんな顔してるのか分かる。
大好き・・・・やっぱり・
忘れられないみたい。私・・・
記憶の中の祐の笑顔がスライドで出てくる。
窓を開けて、顔を出した。
「ううん・・・大丈夫だよ?謝ればミンナきっと許してくれるよ・・・ねっ?」
泣きそう、私・・・
「雛、大好きだーっ」
祐が叫んだ。
それは私の心に、直接届いた。
ありがとう。私も・・・
「大好きだよ祐・・・っ」
泣く、泣く、泣く。
急いで階段を下りた。早く側に行きたくて。
願いが叶った。
年を重ねるごとに現実が見えてきた。
無理なモンは無理。
勉強出来る人は、才能があるからって思ってた。
可愛い人は、小さいからだって思ってた。
頭良くなりたい、可愛くなりたい・・・願う事、一個づつ消していった。
「祐と両想いになりたい」
もう消したハズなのに。やっぱりどこかで思ってたんだね。
一番会いたい。一番好き、大好き。
大切な・・・人。

「祐・・・ッ」
抱きしめた。
コレを一緒埋まっていた、私。心のどっかで。
もう離したくない。
「雛・・・ずっと一緒にいような?」
「うん・・・一緒に・・・居ようね・・っ」
もう一度、お互いのキモチを確かめ合うように、抱き合った。
そして二人の唇が重ね合った。
裕汰が雛を微笑みながら見つめる。
「幼馴染み以上に・・・なった、よね?」
照れながら言った。
キスとか・・・しょちゅうやってると思ってのに。可愛いヤツめ。
「当たり前じゃん?・・・祐、大好きだよ」
そしてもう一度、さっきよりも熱いKISSをした・・・

=END=
 

  

 投稿者:    投稿日:2008年 8月 2日(土)15時12分28秒
編集済
    ・・・  

お隣さん

 投稿者:  投稿日:2008年 8月 2日(土)12時56分26秒
 


「稚衣ー!!早くしなさい!一斗くんが待ってるわよっ!!」
「今いくぅっ!!」
朝、この階段を勢いよく下りていく少女は、日向稚衣(ヒムカイチイ)。この4月から近くの高校に通っている。
「ぢゃ、いってきまーすっ!!」
稚衣がドアを開けると、そこに少年が一人。一斗である。
「遅いっ!!」
一斗は少し怒ったような顔をして言った。この日高一斗(ヒダカイット)は稚衣の家の隣に住んでいて、稚衣と同じ学校に通う3年生である。身長は高く、きれいな顔立ちをしている。生徒会長もやっていて、女子に人気はあるのだが、性格が怖く、だれも近寄る事ができない。しかし、稚衣に対しては・・・・
「ごめんっ!!ごめんね、いっちゃんっ;;」
「ぷっ。うそだよ。今日はいつもより早かったもんな。よくできました。」
そういって、一斗は笑顔で稚衣の頭をなでた。小さい頃から稚衣のお兄さんのようだった一斗は、稚衣がかわいくて仕方ないのだ。それは稚衣にとっても同じで、一斗の事を本当のお兄さんみたいに慕っていた。二人の考え方の違いを1つだけあげるのなら、その思いが恋か恋じゃないかだ。一斗は稚衣の事が好きだった。一斗が自分の気持ちに気付いたのは、中3のときだった。昔からかわいかった稚衣だったが、中学生になりますますかわいくなった。そして、稚衣を狙う奴が多くなり、一斗の同級生でも、稚衣のことを好きだという奴が出てきた。そして、稚衣が告られるシーンを見て初めて気がついたのだ。自分は稚衣が好きなのだと。あれから一斗はずっと稚衣が好きだった。いや、小さい頃からずっと・・・といった方がいいだろうか。それに比べて稚衣は一斗の事をお兄さんとしか見ていなかった。一斗は、今はまだそれでも良かった。側に居れるだけで・・・・。
「ちぃ。」
「ん?」
一斗は手をポケットに入れ、何かを出した。
「ほら、ご褒美。」
そういって飴を渡した。甘いものが大好きな稚衣にとって飴は大好物なのである。
「わぁっ☆ありがとぉ、いっちゃんっ♪」
稚衣が満面の笑みで一斗をみあげる。一斗が赤くなっている事に、稚衣は気付いていない。
「よしっ!行くか!!」
一斗が自転車にまたがった。稚衣はその後ろにまたがる。本当は電車で行く距離なのだが、稚衣はかわいいのでよく痴漢にあう。いつも泣きながら帰ってくる稚衣をみて、一斗が自転車で送るといいだしたのだ。周りは止めたが、一斗は聞く耳を持たなかった。長くは続かないだろうと言われていたが、続いている。それだけ、一斗の稚衣に対する想いが大きいのだろう。
「よしっ、行くぞ!!しっかり摑まっとけよ!!」
2人ののった自転車は学校へむかって坂を下って行く。

「ちーちゃん、おはよー!」
学校に着くと、いろんな人が稚衣に声をかける。稚衣はこの学校の人気者なのだ。かわいく、背も低い稚衣はもてるし、同姓からもかわいがられている。先輩からも人気が高い。
「おはよーございますっ♪」
稚衣は笑顔であいさつする。
「あっ日高先輩もおはようございますっ。」
一斗は無愛想に、かるく礼をした。稚衣以外には冷たいのだ。2人は自転車から降りた。
「いっちゃん、ありがとぅ♪」
「どーいたしまして♪」
2人の間にまったりとした雰囲気がながれる。
「ちーちゃん!ちょっとこっちおいでぇ~っ☆」
先輩が手招きしている。
「?なんですかぁ??」稚衣は走った。
「ちょっ・・ちぃ!まてっ!!手と足が同時にでてるぞっ!!」
「ふぇ?・・っひゃぁっ!!」
一斗はやっぱり、という顔をした。稚衣がこけたのだ。昔からドジな稚衣はよくこけるのだ。
「ほら、大丈夫か?」一斗が抱き起こす。
「うんっ;;だいぢょーぶっ☆」
「そっか。気をつけろよ!!じゃあまた後でな!!」
一斗はまた無愛想な顔をして教室に行った。
「私、生徒会長のあんな顔初めてみたよ・・・;;」
その場にいた先輩が驚いている。
「ねぇ、ちーちゃん。生徒会長とどういう関係?!」
「ふぇっ!?えぇ~っと・・・幼馴染・・・ですかねぇ;;家が隣同士なんですよっ☆」
「そーなんだぁ。てっきり付き合ってんのかと思っちゃった☆あっ!そぉだ!!ちーちゃんにコレあげようと思ったんだった!!新発売のミルキー苺味!!」
稚衣は目をきらきらと輝かせた。
「はい!ちーちゃん♪」
「コレ・・もらっていいんですか??ありかとうございますっ!!きゃーっ☆先輩大好きぃ↑↑」
稚衣は先輩に抱きついた。
「いえいえ☆もぉかわいいなぁ~ちーちゃんはっ☆じゃあまたね♪」
「はい♪」
稚衣は満面の笑みで飴を口にふくみ、教室に上がった。
「おはよぉ、ちぃ」
この美人な少女は沙希(サキ)。稚衣の親友である。もてるのだが、男が苦手で、気が強い。入学式で稚衣を見かけて以来、稚衣にぞっこんである。
「おはよぉ、さっちゃんっ♪みてみてぇ!!先輩にもらったのーっ☆」
稚衣は飴の袋を見せながら、笑った。
「ん~っ!!かわいいなぁ☆☆なにもらったのぉ??」
「んっとね、ミルキー!!」
「そっかぁ♪」
のほほんとした二人の世界である。その時、一斗はというと・・・・
「ちくしょー・・かわいいなぁ////」
↑ひとり生徒会室でひたる男;;
 昼休み。一斗が稚衣の教室にやってきた。
「ちーちゃん!日高先輩がよんでるよー!!」
「ふぇ?」稚衣がドアの方へ行く。
「香奈ちゃんありがとぉ。」
「いえいえ☆」
「いっちゃんどぉしたの??」
「今日さ、生徒会の仕事があるんだ。だからちょっと遅くなるかもしれないんだけど・・・」
「そぉなの?ぢゃ、待ってるよ♪」
「え?」
「・・・だめ?」稚衣は一斗をみあげて聞いた。
(だめなわけないじゃん;;めっちゃ嬉しいし////)
「ぢゃあ、帰るときになったら生徒会室に寄ってくれる?なるべく早く終わらせるから。」
「うんっ!分かった☆」
「じゃあな。」一斗は帰っていった。
「何だったの??」沙希が聞く。
「ん?今日帰り遅くなるんだって。だから待ってる事にしたの♪」
「じゃあ私も一緒に待っててあげる。」
「えっ??そんなっ;;悪いよ;;」
「いいのいいの。どうせ残る用事あったし。それより・・・ちぃ、生徒会長のこと好きなの??」
沙希は一斗の事をあまりよく思っていなかった。ちぃが今までいろんな男に痛い目に合わされてきたのを知っているので、素直に男に渡す気はない。それに、ちぃをとられるような気がしていたのだ。
「へっ?やだ、さっちゃん!!そんなんじゃないよっ!!だってぁたし初恋もまだだもん。好きってどんな気持ちかわかんない。」
「そっかぁ・・・はやくいい人が現れるといいねっ」
「うんっ」
あぁ・・・友情って美しい☆☆
そして放課後・・・
「あーあ。やってらんねーよな。生徒会長なんてよ。」
一斗が文句を言っていると、副会長で、一斗の親友である健太郎が
「何いってんだよ。お前がなるっていったんだろ。」と笑っていった。
「なりたくてなったんじゃねーよ。」
「は?じゃあなんでなったんだよ;;」
「ちぃが生徒会長がかっこいいって言ったから。」
「またちーちゃんかよ。」
「だってよ、あいつ中学のとき生徒会長のことかっこいいとかいってさ、女の子の顔してんだぜ。くやしいじゃねぇかよ。」
「わかるけどさ、お前ちーちゃんばっかりだな。」
「悪いかよ。///」
「や、悪かねーと思うよ。俺はね。」
そんな会話をしていると、コンコン。誰かがドアをノックした。
「どーぞ。」
「いっちゃん?終わった??」
稚衣がひょこっと現れた。一斗の表情がぱぁっと明るくなった。
「終わった終わった。かえろーぜ。」
そそくさと、一斗が出て行こうとする。
「え?おいっ!」健太郎が引きとめよーとする。
「頼む!!何かおごるから!!」
「しゃーねーなぁ・・・」
「じゃ、よろしくっ!!」
一斗はそういうと、生徒会室を出てった。
「はぁ・・・この量・・・まじで・・?」
健太郎がため息をついた。そこにひょっこっと稚衣が顔を見せて、
「けんちゃん、ばいばい☆」といって走っていった。
(かわいー・・・ありゃはまるわ・・・)
「いっちゃーん!!これどこに置くの?」
「あぁ、それはな・・・」
今、稚衣は生徒会室に居る。一斗達のお手伝いをしているのだ。
「ちーちゃんさっきからずっと動いてるなぁ。ちょっと休み?」
もちろん健太郎も一緒だ。
「そうそう。」沙希も来ている。(なぜか。)
「・・・ってお前はもっと働けぇっ!!」
「うっさい!健太郎!!こっちはね、手伝ってあげてるの!!」
この2人、実は幼なじみだったりする;;
「さっちゃんも、けんちゃんも仲良くしようよぉ~っ;;」
稚衣が仲裁に入り、なんとかおさまった。
「ちぃ。」一斗が話しかける。
「今日はありがとな。お礼にあめやるよ。」
「わぁ~・・☆ありがとぉ、いっちゃん♪」
一斗はこの顔が大好きだ。にこっとしてかわいいのだ。稚衣は飴を食べ終わると、
「あ!プリント教室に忘れてきた;;ちょっと取ってくるねっ!!」
「気をつけろよ。」
「うんっ♪」
そういうと稚衣は走っていった。このあと何が起こるのか、何も知らずに・・・・
「なぁ、お前いっつもあめもってんの??」健太郎が聞いた。
「え?・あぁ、もってるよ?」
一斗は当たり前のような顔をして言った。
「なんでですか?」沙希も聞いた。
「俺・・ちぃの喜ぶ顔好きなんだよね・・///かわいいじゃん?////」
健太郎と沙希は一斗が本当に稚衣の事好きなんだろうなぁとほほえましい感じにもなったが、のろけかよっ!と腹が立つ感じもして複雑な感じだった。

教室。
「え~っと・・・あ!あった、あった^^」
生徒会室に帰ろうとしたその時、中学生らしき少年がいるのに気がついた。かわいらしくて、きれいな顔をしている。
「どうしたの?」
稚衣が聞いた。「えっ!あっ・・あの人を探してるんです。」
「そうなんだ。一緒に探してあげるよ。誰?」
「えっと・・・」少年が何かを言いかけた時
「ちぃ!!」一斗が走ってきた。あんまりにも稚衣が遅いので心配して迎えに来たのだ。
「・・ちぃ?」少年がつぶやいた。
「え?」一斗が稚衣の隣に来た。
「ちぃ、こいつ誰?」
「えっと、人探してるんだって。名前は・・・」
稚衣が少年の方を見た。
「裕太です。」一斗が裕太に尋ねた。
「探してるって誰を?俺も手伝うけど・・・」
「もういいです。見つかりましたから。」と言って稚衣の腕を引っ張った。
「きゃっ!」稚衣は急に引っ張られたので、少しよろめいた。
「あなたを探してたんですよ。日向稚衣さん。」そう言って、裕太は稚衣にキスした。
「やっ・・んっ」
「おいっ!なにやってんだよ!!」
一斗が裕太に殴りかかった。
「やっ、いっちゃんだめぇ!!けんかしちゃ・・ためぇ・・っ!」稚衣がとめに入った。
「何いってんだよ・・っ!お前、こんなに泣かされてんのに・・」
「こんなとこでけんかしたら、いっちゃん停学になっちゃうっ!!」
「俺は別にそんなんいいんだよ。」
「稚衣がいやなのっ!!」稚衣は一斗の腕にしがみついている。
「ちょっと・・みせつけないでもらえます?」裕太が言った。一斗は裕太をにらみつけた。
「どういうつもりだよ。」
「どういうって・・ただたんに稚衣さんのことが好きなだけですよ?あなたも稚衣さんのこと好きなんでしょ?はやく言わないと誰かにとられちゃいますよ。」
裕太はかすかに笑いながら消えていった。
「なにいってんだろうね、裕太くん。そんなわけないのにね。」
稚衣が泣きはらした顔で一斗に笑いかけた。一斗は無性に切なくなった。今まで、稚衣を大切にしたくて自分の思いをうちあけてこなかった。でも、本当はふられるのが怖くていえなかったんだ。かっこいい事を言いながら、俺は逃げてたんだ。ちぃが俺の事をお兄さん程度にしか思ってない現実から・・・。
一斗は稚衣を抱きしめた。
「うそじゃないよ。俺・・・ずっとちぃが好きだった。いつか言おうと思ってたんだけどけどな・・・あんな奴の口から言われるとはな・・・笑っちゃうよ・・・」
「いっちゃん・・・?」稚衣は信じられないという顔をしていた。
「帰ろっか・・」
2人は沙希と健太郎のいる生徒会によってから、帰った。
 その日の夜。私はなんとなく眠れなくって、散歩に出かけた。星を見ながら、ふらふらと。
前から誰かが歩いてくる。稚衣はその人をみてびっくりした。なんと裕太だったのである。稚衣は反射的にかまえてしまった。
「こんばんは。そんなにかまえないでくださいょ。昼間の事・・・謝りに来たんです。」
2人は橋の上に座って話した。
「あの・・昼間はごめんなさい。あんなことして・・・」
「もういいよ。でも・・なんであんなことしたの?」
「・・・悔しかったんです。俺初めて見たときからずっと稚衣さんのこと好きだったんです。だからいっつも一緒にいるあの人がうらやましくて・・・あの人が稚衣さんのことスキだってわかってたから・・・意地悪しちゃおうと思って・・・。ごめんなさいっ!俺・・わかってたんです。ほんとは稚衣さんがあの人のこと好きなの。なのにあんなことして・・・」
「ちょっとまって!!私がいっちゃんのこと好き?」
「違うんですか?」
「えっ!違う・・・違わない・・?えっ!?」稚衣は混乱してしまっていた。
「だって、いっちゃんはすごくて、優しくて、ちぃのお兄ちゃんなんだよ?そんな・・・」
ふっと裕太は笑って
「敵に塩を送るつもりなんかなかったんですけどね・・・」とつぶやいた。
「えっ?」
「いえ。稚衣さん。1つ聞いてもいいですか?」
「うん・・?」
「もし・・一斗さんがいなくなっちゃったら・・・どうします?」
「そんなのやだっ!!」
「・・ですよね。あなたはそうやって、誰を想ってるんです?」
稚衣は裕太の言っていた言葉を何度も何度も思い出していた。そして、なにかふっきれたように眠った。
 朝。なんとなく起きる気がしない。ついに・・言ってしまった。なんか・・・もうどうでもいい・・・。
その時、下から声が聞こえてきた。
「いっちゃ~んっ!はやくしないとちこくだぞぉ!!」
「!?」
俺はびっくりして起きた。もう、二度と会ってくれないかと・・・。俺は急いで着替えて、下に行った。
「!もぉ!!おっそぉい!!」
稚衣のいつもどうりの笑顔。
「なんで・・・」
「いっちゃん・・・一回しか言わないからちゃんと聞いててね。・・・あたし・・いっちゃんのこと好きみたい。いっちゃんのこと考えるとね、胸がぎゅ~ってなるの。これって、スキってことだよね?」
「ちぃ・・ほんとうに?」ちぃは今まで見た事がないぐらいの満面の笑顔で言った。
「いっちゃん!だぁい好き!!」俺はちぃを抱きしめた。
「やっと・・やっと捕まえた・・・!」ちぃも抱きしめ返してくれた。
「うん・・・もうはなさいでね・・・」
こうして、2人はお隣さんから恋人になりました。2人がラブラブかなんて・・・言わなくてもわかりますよね^^


                                  ~END~

 

ローズ・スキンの女

 投稿者:ぼらーこ@ユニセックス  投稿日:2008年 8月 2日(土)10時40分32秒
編集済
 


ローズ・スキンの女  01~06 投稿順 作者 投稿日


01 ぼらーこ@
ユニセックス 2005年3月2日 14:27:24

 重そうなドアをやや肩で押すような仕草で、女が入ってきた。赤茶のサングラスをしていた。髪は黒くカールして肩の下にまで届いていた。シルバーのミンクのコートから下に伸びた脚は長く、足首がほっそりしていた。靴は、履き古したスニーカーだった。しかもそのスニーカーは大きめだ。そこだけ見るとまるで森の中のこびとか妖精の脚のようだ。白人女性だ。
「ようこそ、ポラーコの店へ」
「ξξΛζ▲」
「ははは。トルコ語ですね?おれには分りません。英語かセルビア語でお願いできませんか?」
「トルコ語ってどうして分ったの?」
女性は訛りの強い英語で答えた。
「おれは、地球語ならばトルコ語以外はすべて分るんです。分らないお言葉だったからトルコ語だと見当をつけたんですよ」
ちょっと笑顔見せて、女はコートを脱ごうとした。この店に腰を落ち着けようと決心したようだ。ヴァラリーが急いで女の背後から肩から滑り落ちたコートをそっと受け取って、胸元に抱えて大事そうに店の奥のキャビネットへ運んで吊した。
女は、意外に肉付きがよく、黒い薄いスーツに身を包んでいた。右胸に緑の宝石のブローチをつけていた。お約束のように、胸と背中がやや広めに開けて、胸の谷間が奥まで見える仕掛けになっていた。肌の白さを強調する作戦が見え見えだった。
「ありがとう。ミス?・・・」
「ヴァラリーです。どうぞよろしく」
「あ、ヴァラリー。あたしはイヴォンヌ・・・」
「スザンナ」
とおれは後を引き取って言った。
彼女は、びっくりして眼を見張っておれを凝視した。おれは、やや警戒色に染まったサングラスを笑顔で柔らかく包み込みながら、言った。



02 ぼらーこ@
ユニセックス 2005年3月2日 14:28:28

「おれは、女の名前を当てるマジシャンです。何かお作りしましょうか?」
「・・・あなたのお名前は?」
「店の名前と同じです。ポラーコ・アレキサンダー・マクモーンと申します。どうぞよろしく」
「お名前からすると、アイリッシュの血が混じっていらっしゃる?」
「はい。スザンナ。スザンナとお呼びしてよろしいでしょうか?」
「ええ。スーと呼んで。そうねぇ。アイリッシュならば、アイリッシュ・アイズ、お作りになれます?」
「はい。よろこんで。スーのお眼の色のようにね」
再び彼女の視線がサングラスの奥で強く光った。
「ああ、おれは女の目の色を・・・」
「当てるマジシャン♪」と女は歌うようにして受けた。
「エメラルドのブローチのようなお眼。すてきじゃないですか。マジックとは心理学を含んだ科学です。確率の高い推理です」
おれは、シェーカーに氷、アイリッシュ・ウィスキー、ミントリキュール、生クリームをそれぞれ同量入れて、アメリカン・ウェスタンのリズムに乗せて振った。ややストロングなアイリッシュ・アイズができた。エメラルドのような透明な濃い緑ではないが、淡い緑の液体をシャンパングラスに入れて、柄のついたサクランボを差し込み、テーブルの片隅に活けてある淡いピンクのバラの花びらを千切って浮かせた。おれは、それをテーブルの上を滑らせ助走をさせて、10センチほど投げるようにしてスザンナに差しだした。スザンナは、それを右手の中指で受け止め、そのまま細いたばこをバックから引き抜き、ライターで火を点けようとしていた。カシャカシャ、ライターは空回りをしているようで、点火しなかった。カウンターの止まり木にお尻を乗せてあちらを向き少々乱暴にヤスリを回していた。
「どれどれ?」と声をかけながら、おれは手をさしのべて、ライターを受け取るような仕草をした。
「あぁ。これはクラシックなライターだ。ロンソン。たしか20世紀の60年代頃、流行ったブランド物ですね。少しいじってよろしいですか?調べてみます」



03 ぼらーこ@
ユニセックス 2005年3月2日 14:29:36

「ええ。直ります?その前に、ポラーコもご自分用に何かお作りになって、乾杯しませんか?」
「ああ、いいですねぇ。では、アイリッシュ・ウィスキーでハイボールを作ってよろしいですか?」
「ええ、どうぞ、それにヴァラリーもいかが?何か作ってあげて、ポラーコ」
「あの子は底なしですよ。しかもブラディ・メアリーしか飲まないんです」
ヴァラリーは、他の客から離れて近づいてきた。
「あたし。今夜はハワイアン・ブルーにする・・・マスター。おお、こわ~い。はいはい、どうせ毒々しい血の色のブラディ・メアリーをお願いね、マスター」
ヴァラリーはスザンナの方を向いて、「マスターはブラディ・メアリーなら即座に作れるし、安いので、ああ言っているだけなんですよ、スー」
おれは、手早くハイボールとブラディ・メアリーを作って乾杯の準備を整えた。スザンナは緑、ヴァラリーは血の色、そしておれは黄色、交通信号のようなグラスが乾杯のかすかな音をさせた。
「3人の友情のために!」
スザンナはそういって、1/4休止符ほどヴァラリーとおれを見くらべた。少し、咳き込んだようにスザンナはつけ加えた。
「あら?わたし、どうしたのかしら?今、急に、ずうっと前からお友達だったような気がしたの」
「マスターが、マジックの粉をかけたのよ、スー」
ヴァラリーはスザンナに質問をした。
「スー、あなたはトルコにお住まいなの?」
「あぁ。私、ついおとついまで。私はトルコ人の血が混じっているのよ、ヴァラリー」
「どうりで、髪の毛が真っ黒で、どこか東洋人っぽいお顔つきだわ。マスターのタイプよ。ポラーコ・マジックにご用心、ご用心」
ヴァラリーはいたずらっぽくスーにウィンクして、ブラディ・メアリーのグラスを持ったまま、別の客のところにもどっていった。
「ポラーコ、あなた、ほんとにマジシャンなの?」
スザンナは不安気におれに尋ねた。おれは背を彼女に向けて、言った。
「ライターにマジックをかけています。スー。少々待ちを」
おれは、手元を明るくする小さなスタンドのスイッチをオンにした。ロンソンのクラシック・ライターを一瞬孔の開くほど見つめ、両手で包み、ちょうど呪文を唱えるように眼をつぶって間を置いた。呼吸を整えて両の手を開き、小さなドライバーでライターのネジを外した。そして、わざとライターの修理に時間を取ろうとして、あるLP版のレコード盤を指でまさぐって、すばやくジャケットから抜き取り、隣の年代物のレコードプレイヤーに置いて、レバーを回して針を乗せた。ゲール語(アイルランド語)の歌が、真空管のスピーカーから、ナナ・ムスクーリの澄んだ声に乗って、店内を充満した。きんきんする音をこそぎ落とした真空管とアナログ独特の柔らかい音が人々を包んだ。



04 ぼらーこ@
ユニセックス 2005年3月2日 14:30:58

「ポラーコ。訳して?昔ゲール語を習ったことがあるけど、忘れちゃったの」
「ええっ?ナナ・ムスクーリの声に合わせるのですか?このひどい声を、スー」
「ええ、そうよ、ポラーコ」
「酒がまずくならなければいいが」と呟いて、おれは別のお客さんに同意を求めてから、また初めから針を置き直して、同時に英語で歌い始めた。

♪私の若い恋人が私に言った、
「お母さんはおまえが年上だからと言って何にも言わないよ。
お父さんはおまえに持参金なんかないからと言って軽んじないよ」
そして彼は身体を離して言うのよ。
「もうじきだよ、ローズ・スキンのおまえ、おれたちの結婚の日も」

「あぁ。発火石がほとんどすり減ってなくなっていますよ、スー。待って下さい。どこかに発火石があったから」
おれは間奏曲の間に、すばやく言った。彼女は抜いたたばこを軽くテーブルにドラミングをしながら、曲に聞き入っていた。
「いいのよ、ゆっくりで、ポラーコ」

♪私のそばを離れて彼は市場を通って行った。
そのあちこちで行く姿を、私はまぶたを熱くして見守った。
そして一番星が瞬き始めた頃、彼が家に向かって帰っていった。
ちょうど白鳥が夕方、湖を越え渡るようにね。

 「ありました。発火石が、スー」とおれは呼びかけた。スザンナは、驚いたようにおれを見た。「・・・・」しばらく黙っていて訊いた。
「ハッカイシって、何?ポラーコ」
「ははは。スーはそのこともご存じない?クラシック・ライターの火打ち石のことですよ。もうそんなものどこにも売ってないんですよ」
(前号(3)の終わりから10行目付近の「少々待ちを」→「少々お待ちを」に訂正します―ぽらーこ)



05 ぼらーこ@
ユニセックス 2005年3月2日 14:32:12

♪みんなが言っていた
「結婚する二人は二人とも幸せになることはなく
一人は人には言われない哀しみを味わうものさ」
そして、彼が品物を持って通ったときに、私は微笑んだ
そうしてそうして、あれが彼のことを私の見納めとなったのね。

スザンナのサングラスの下に涙が溜り、すっと伸びた鼻筋の右の脇から、それが一筋あふれ落ちていた。おれは見えない振りをして言った。
「スー、たばこに火を点けましょう」
シュパと音がして、青いほのほが麦の穂のように伸びた。スザンナは、サングラスをテーブルに置いた。ライターをもったおれの右手を両の手で抱えるようにして、火に顔を近づけくわえたたばこに火を点けた。そして、ぽかんと開けた口から煙をくゆらせながら、エメラルド色の潤んだ眼でぼんやりおれを見ていた。それからハッと初めて気がついたように店の壁に市場の雑踏の絵が浮かび出たのを見回した。
「市場ね?ポラーコ」
「そうですね、スー」
おれも初めて気づいたように、ライターの火を点けたまま、スザンナに調子を合わせて見回した。おれは一段と低声でスザンナの耳に向かって歌った。

♪夕べ彼が私を訪れ、こっそりと入ってきた。
そのやわらかな足はことりと音もたてずに
そして、彼は私の上に身体を乗せて、こう囁いたのよ。
「もうじきだよ、ローズ・スキンのおまえ。おれたちの結婚の日は」



06 ぼらーこ@
ユニセックス 2005年3月2日 14:33:20

 スザンナは他人事のように言った。
「『もうじきだよ?』って・・・何年になるの?ジム」
「30年だよ、スー」
「あなたの持っていた品物は爆弾だったのね?ジム」
「うん」とおれは頷いた。「おれは両足を失ったよ。スーは吹き飛ばされたおれの足が穿いていたスニーカーを持って、どこかへ消えてしまった。おれが『できるだけ遠くに逃げろ』と言ったからね」
「ねえ、ジム、ライターの火をもう一度点けてみて」
シュパ。その光で店の壁に、ブリューゲル風の市場のざわめきをかたどった絵が再び浮き出た。スザンナは不意に止まり木から飛び降りて、ピボット・ターンをして、両手を大きく広げたかと思うとその手を胸のところで固く結び、その手をそのままゆっくりと、おれに差しだして叫んだ。
「そうなのよ!あなたは、あなたはこのライターで導火線に火を点けたの!何かが間違ったのね。そう間違ったのだわ。爆弾は予想外に爆発してしまったのね。あなたを包んだほのほはこんな色だった。あなたは、おお、ジム、私のジム!あなたは丸太ん棒のように倒れて燃えていた!ねえ、私に何ができたというの?ねえ、教えて、私に何ができて?」
「スー、おまえは、婚約のエメラルドのブローチを着けて、おれのスニーカーを履いて、30年かけてここに来た。おれは両足と同時にレジスタンスの名前、ジムも捨てた。顔も変わってしまった。だが、なにも、なにも変わっちゃいないのさ・・・」
ヴァラリーはワルツを踊りながらふんわり二人に近づいてスカートを広げて会釈をした。
「ライターのマジック・ショーはいかがでした?スー。ジム、いえ、ポラーコはずっと発火石を持ってローズ・スキンの女をお待ちでした。マダム・マクモーン」



  
 

太一と蛇

 投稿者:櫻子  投稿日:2008年 8月 2日(土)10時24分43秒
編集済
 


太一と蛇 投稿順 作者 投稿日

01 櫻子 2005年5月14日 20:11:13


「太一、ゴリ番やぞ」
 父の声が、寝ている太一の頭上で響いた。
「はよう、起きろ」
 父の叱責するような声音に、太一は慌てて飛び起きた。すぐに起きないと、何が飛んでくるかわからない。太一の父は、口より先に手がでる。

 ゴリの番はずっと祖父の役目だった。
 その祖父が百歳まであと二年を残して、六月にぽっくりと大往生してしまった。
 太一は、祖父が大好きだった。祖父の昔話は、大変おもしろくて、いつも胸をどきどきさせながら聞いた。
 祖父の忌明けが終わると、父は漁を再開した。太一は祖父のしていたゴリの番をすることになったのである。

 夏休みは、朝の六時半に村の会議所の広場に、小学生と中学生の全員が集まる。そしてラジオ体操をする。それが終わると家に帰って、午前十一時までは外出禁止である。学校の規則で、午前中に家で宿題をする事になっているのだ。規則を破ると、班長をしている中学生から叱られる。この規則は、村中の家が守っていて、午前中は子ども達に家の仕事の手伝いさえさせない。

 だから午後になると、子ども達は一斉に表に飛び出してくる。たいがいは寄り集まって神社の境内で遊ぶ。
 遊びたいさかりの、六年生の太一には、ゴリの番は辛い。皆が神社の境内で思い思いに遊んでいるのかと思うと、父がうらめしくて仕方がなかった。しかし、そんな事には一向お構いなしの父は、子どもを手足のように使い、太一を見ると必ず用事を言いつけた。言い付けを聞かないと、母親が怒鳴られるか、平手が飛んできた。

 川原につくと、本流に並行して、父が作ったゴリ用の細い水路が目に入った。簾が上流と下流にきちんとさしこまれている。下流の簾は「入」字型になっていて、山形のところが、一センチばかり隙間が開けてある。ゴリはここから中に入るが、上流は簾で止められているため、入ったが最後、ここから逃れられない。

 ゴリの簾(す)は、竹を五十センチの長さに切り、それを直径五ミリぐらいの竹ヒゴ状にして、簾にするのだから、気が遠くなるほど、竹ヒゴを作らなければならない。来る夜も来る夜も、竹を削っている父を見て、太一は感心するばかりだった。それができあがると、筵を編むように、竹ヒゴを簾状に編んで行く。この作業も長くかかる。これらは冬の間の夜なべ仕事で、春になるといつも新しいゴリの簾ができていた。

 太一の父は手先が器用なのか、アイディアが豊富なのか籠からゴリ収集の生簀箱を作り、果ては投網まで自分流に編んでしまう。
 ゴリのような小魚を煮るのは母にまかせるが、大きい魚をさばくのは父がした。鯉やなまずのたぐいから、鶏や兎まで上手に料理をした。

 ゴリは浅瀬を昇る習性があるので、人工水路に呼び込み、川を昇らせ、簾(す)の中に誘い込んでとるのである。
 何事も大きい事が好きな父らしく、引き込み用の水路も、人より大きい。鋤簾で砂を掻き出し、石ころだらけの中洲に、水路をつくるのである。父の簾は村人のより丈も長く幅も広い。砂で埋め込む部分を深くするので、手作りでより長い簾を作っているのである。以前水路を作っている所を見たが、一時間近くかけて丁寧にこしらえていた。

 そんな父の作業を見るのは、太一は退屈しなかった。
 上流の簾の片隅に、子供がひとり寝転んで入れるような大きな生簀箱がしつらえてあり、昇ってきたゴリはそこに留まるようになっていた。箱は高さ五十センチ、幅五十センチ,長さ八十センチの大層なもので、高さの三分の二を河原の砂に埋め込まないと、浮力が働いて浮かび、箱は流されてしまう。箱を埋める作業もたいへんだった。

 村人は最後にゴリを収集する時、蓼を取ってきて揉み、ゴリを下流へ追いやって、ざるを置いて掬う。
 父はその作業を省くために、生簀箱を作ったのである。難点は、水を含んだ箱はとても重くて運ぶのがめんどうな事である。いちいち家に持ち帰ることができないので、盗まれないように、川原から上げて、草や竹笹を被せて藪の中に隠しておく。
 太一は子ども心に、こんな大きい箱はだれも盗っていかないだろうと思った。

 父の仕掛けは大きいのでたくさんのゴリが入る。ごい鷺がきてゴリをとったり、ハス釣に来た釣り人や村人が、生簀箱の中のゴリを掬っていく事もしばしばある。ゴリ番はそれを見張るのである。
 祖父はいつも河岸から河原にせりだしている、どんぐりの大木の陰に筵をしいて寝転んでいた。そして呟いた。

――魚が水面に輪を書いたり、銀色の腹を出して飛び跳ねるのをみていると、わしは極楽にいるようじゃ。ときどきはどんぐりの青い実が落ちてきて、頭にあたったりするが、それでもここは風が通ってすずしゅうて極楽じゃ――

 祖父には極楽でも、太一はゴリの番が嫌でたまらなかった。木陰に寝そべって、ゴリの簾を終日見張っているのは、苦痛でしかなかった。
 救いは、週三回の水泳日だった。その水泳の日は、村中の子どもたちが、太一がゴリの番をしている少し上流で泳ぐ。太一も番をしながら、一緒に泳ぐことができるのだ。そこは、愛知川が琵琶湖へ入いる河口であるから、、結構な深みもあり、水も澄んでいる。格好の水泳場所だった。

 水泳日は、中学生が監視役で、村中の子供達二十数人がそこで泳ぐ。深いところで泳ぐと水はひんやりと冷たく、魚が太ももをつついてきたりする。体長三十センチほどのハスの群が、太一達の体の間をすり抜ける。魚を捕るのが上手な子もいて、巣穴からうなぎをひっぱりだしたりする。浮きじゃこと呼ばれるモツなどは手掴みで捕まえる子もいた。小さい子ども達は、それをじっと見て、漁のやり方や楽しさを覚えていくのである。

 まれに木の上から蛇が落ちて来て、一緒に泳ぐことになったりもする。そんな時、女の子や小さい坊主達は、キャアキャア騒ぎたてて、逃げまわる。中学生達は、蛇を追い回して騒ぐ。蛇はS字を書くように体をくねらせて、逃げまどう。ワアーワアーと声を上げながら、石を投げたり、棒切れで水面を叩いたりして大騒ぎだ。しかし、蛇を殺したり傷つけたりはしない。蛇は最後には岸へ辿りついて、藪の中に姿を消す。恐れをなしてか、蛇はそれから暫くはでてこないのであった。

――まむしか青大将か見極めないかんぞ――
 蛇が出た日は、子どもたちは祖父のところへ集まってくる。みんなで蛇の大きさや逃げる様子をいいつのって、いつまでも興奮がさめやらないのであった。
 子どもたちが少し落ち着いた頃、祖父は必ず、静かな低い声でこう付け加えた。

――このあたりにはなあ、蛇の総大将がおってなあ、そいつにだけは逆ろうたらいかんぞ。そんなに大きな蛇ではないが、あとできっとひどい目に合わされる。尻尾に銀色の輪が入った蛇でのう、時々人前で蛙を飲み込んでは、強さを誇示しよる――

 その日、弁当を食べてから、太一はゴリの簾(す)から離れて、藪に近いところの大木の木陰に、茣蓙をしいて寝転んだ。天気はカンカン照りだったが、空気は湿気を含んで、肌にじっとりとまとわりついてくる。木陰にいても、いがぐり頭の毛の先から、汗が滴り落ちた。風がやんで空気がどんよりしている。



02 櫻子 2005年5月14日 20:12:32

「夏の友」を広げて、宿題をこなそうとするが、なかなか身が入らない。雑木にすがって鳴いている蝉の声が、太一の耳の奥にとどまって、ワアンワアンと響いている。
 寝転んで石に耳をつけると、ペタンペタンとへんな音がする。目だけをその方向に動かすと、二メートルほど先から、蛙が太一めがけてやってくるところだった。大きな殿様蛙だ。まだらの模様が保護色で変化している。ベージュと焦げちゃが入り混じっているのだ。どうも川原の石に体色を合わせたらしい。

 蛙は太一の存在を察知したのか、一メートルほど先でピタリと止まった。太一はじっと蛙を見つめていたが、弁当の握り飯を食べたあとの満腹感と、けだるい夏の空気とで睡魔に襲われていた。
 太一が身動きしないのを確かめて安心したのか、蛙が鳴き出した。
「雨降れ、雨降れ」
 太一には、蛙の鳴き声がそう言っているように、聞こえた。蛙の声を子守唄に、太一はまどろんでいった。

 ふと気がつくと、蛙の声がしない。そっと目を開けると、さっきと同じ位置で蛙が身じろぎもせず、じっとしている。
「お前鳴かんのか……」
 太一が、蛙をびっくりさせないように、小さい声でいった。
 しかし、蛙は太一の声に反応せず、くりくりした目玉をじっと同じ方向にむけたまま、置物のようである。太一は小粒の砂を蛙の十センチばかり手前に飛ばしてみた。しかし蛙は身動きひとつせず、太一の誘いにものらなかった。

「お前へんやなあ」
 呟きながら、蛙の視線の延長線上を辿ると、そこに何かがいる。蛙から一メートルのところに何かいるのである。午睡からさめたばかりの目を見開き、じっと凝らしてみる。

と、大小の石の間に体を滑り込ませて、青大将が身構えていた。首をもたげて口を少し開けている。ちろちろと赤い舌が揺らめいている。良く見ると舌が三本もある。舌は揺れているが、体は微動だにしない。小さい点のような目が、蛙を射すくんでいた。

体は地面にしっかりと這わせている。石の間にある蛇の体に、力が入っているのがわかった。太一も射すくめられたように、体が動かなくなった。蛇は熱い石の上は好まないから、たいていは木の上か、岸から水の中を泳ぐかで、こうして川原を這う事はめったにない。きっと、蛙の鳴き声を聞いて、藪から這い出し、獲物を獲るために、川原へ出てきたのであろう。



03 櫻子 2005年5月14日 20:13:36

「逃げろ」
 太一は蛙に向かって言った。
「シッシッ」
 太一は、今度は蛇に向かって言った。蛇は首をもたげて、シャーッと威嚇した。
 太一は、蛙の面前に小石を投げた。しかし蛙は動かない。蛇に見込まれて、もう失神しているのではないだろうか。 なんとかしなければ、蛙があぶない。太一の心はあせる。

――蛇の総大将がおってなあ――
 祖父の言葉が脳裡を横切った。視線を蛇の頭から胴体にそって移し、尻尾を捜した。ひときわ大きな石の陰に蛇の尻尾はあった。太一は、胸に矢を受けたような衝撃を覚えた。痺れが走り、同時に寒気が背筋を駆けぬけた。その尻尾にはまぎれもなく、銀色の輪が太陽の光を浴びて、にぶく輝いていた。

 その瞬間、太一は立ちあがった。太一の手は足もとの石を拾い上げ、蛇に向かって投げていた。蛇は太一に向かって進んできた。後ずさりしながら太一は大声で叫んだ。
「逃げろ、逃げろ、カエル、逃げろ」

 今度は、蛙の目の前に、バラバラッと小石を投げた。
蛙はその音で、失神状態から脱したのか、ゲゲともググとも聞き分けられない鳴き声を漏らして、藪の方へ一目散に飛び跳ねて行った。
 蛇は身構えたまま、太一の前で威嚇していた。今度は太一が蛙になる番だった。

 その時、ゴオーッという音が聞こえた。太一はあたりを見まわした。何も変化はない。太陽はギラギラと川原の石に照りつけている。竹薮は時々過ぎる風に、だるそうに揺れる。下流は水面がぬらっと光っていて、漣ひとつない。しかし、音はだんだん大きくなってくる。地震だろうか、足元が響いているように感じられる。

 すると、今まで威嚇していた蛇が、姿勢を崩し、するすると一直線になって、太一の脇をすり抜けて、上流の方向へすべってゆく。落ち着き払ってはいるが、太一は不気味だった。
 太一は蛇の行く先を見た。曲りくねった川の上流の水面に、白い物が見える。

 それは百メートル近い川幅いっぱいに張られた、ゴールテープのように見えた。
 太一はじっと目を凝らした。太一の立っている川の水面より盛り上り、上下しながら白い帯はこちらへやってくる。それはまさしく、洪水だった。

――上流の山で雨が降ると、翌日にはその雨が川となって、このあたりへたどり着く――
 祖父の言葉を思い出したとたん、足が震えてきた。
「流される……」
 太一は、はじかれるように筵を掴むと、父のゴリの簾(す)へ向かって飛んでいった。

 簾(す)を、埋め込んだ川原から引き抜こうとするが、じょうれんで丹念に作ってあるために、なかなか抜けない。太一の脳裏に簾や生簀箱を流されて、怒り心頭に達している父の顔が浮かんだ。
 渾身の力を込めて、砂利の中から簾を引きぬき、太一は箱の中に投げ入れた。そして体を全部乗せて、生簀箱を左右に揺すり、埋め込んだ川砂の中から引っ張り出した。

 ゴオーッという洪水の音が迫ってくる。太一の背丈ほどもある濁流の帯が、川幅いっぱいに走ってくる。それは水が総立ちして駆けてくるようだった。
 生簀箱を引き上げたが、水を目いっぱい含んでいる箱は、簾の重さも手伝って、持ち上げる事さえできない。 太一は足を踏ん張って、生簀箱を引きずった。川原の石の上をガラガラと音をさせながら引きずった。

 一直線に岸の方へ行くと、そこには深みがある。深さを推し量っている余裕はもうなかった。轟音と泡しぶきを飛ばして、洪水が迫ってきている。腰まで深みにつかりながら、箱を力いっぱい引き寄せた。その時、洪水は、魔人が走り込んでくるような勢いで進軍してきた。

 太一を捕らえた濁流は、一気に太一を首まで沈めた。太一は、右手で必死に岸の杭を掴み、濁流の勢いに流されそうになる箱を、死んでも放すまいと、満身の力を込めて引き寄せた。

 最初の洪水が太一に衝撃を与えたあと、濁流はなめるように太一のまわりを取り囲み渦を巻いた。濁流の泡は花のように大きくふわふわとまといついてきた。

――落ち着いて――と、太一は自分に言い聞かせた。恐怖の一瞬、難を逃れたが、太一の下半身はがくがくと震えてとまらない。やっとのことで、岸に這い上がり、箱を引きずり上げて、太一はへなへなと座り込んだ。

「太一、大丈夫か」
 父の声がした。父が太く大きな手を出して、太一を抱いた。太一はびしょぬれの体で、父にしがみついた。顎が、がくがくと震えて、泣いているのに声がでない。
 その時、一匹の蛇が、するすると二人の足元をすり抜けた。

 蛇は、尾を取り巻いている銀色の輪を鈍く光らせながら、ゆうゆうと茂みの中に入っていった。



 

寿司折  随筆

 投稿者:翔子  投稿日:2008年 8月 2日(土)10時21分45秒
 


寿司折 翔子 2005年5月14日 19:48:06

 翌々日からまた授乳がはじまった。
光線療法を終えて私の腕の中に帰ってきた娘。二四時間保育器に入れられ、光をあてられた赤子は心なしか日焼けしたように肌が黒くなっていた。こめかみには点滴をしたらしい針の跡と針の長さの分だけ溝が痛々しくついていた。

何回も搾乳して母乳を捨てていた。やっと乳首を含ませて母乳を飲ませられると思ったが、ミルクに変えるようにと指示がでた。赤ちゃんにミルクを飲ませて、泣く泣く母乳は搾って捨てた。
それでも、丸一日抱く事が出来なかった我が子を抱きしめて、私は幸福な気分だった。

中一日おいて、また母乳を飲ませることになったが、母乳を飲むと白目のところが黄色くなってくる。様子を見ながら母乳を飲ませることになった。頭の中で血液が凝固すると、凝固して詰まった部分によって障害が起きると説明されていたので、とても不安だった。
退院は出産後六日目と決まっていたが、母子とも二日余計に入院して自宅に帰ることになった。

退院は日曜日に決めたが支払いは土曜日に済ませておかなければならない。夫に連絡して、来るのを待っていた。
土曜日の午後、寿司折をぶら下げて義父がにこにことやってきた。八十七才、かくしゃくとしていて、ユーモアに溢れた人だった。

私の目の前に寿司折をだして、笑いながら言った。
「おまえを、請け出しにきたよ」
思わず声を立てて笑った。
光線療法などをしたうえ、名前がついていないので保健はきかない。母子二人の入院費用は30万円弱かかっていた。義父が払ってくれたのだった。

新生児室のガラス越しに赤ちゃんを見た義父は「ちいさいなぁ~」と感嘆の声をあげて見入った。目は切れ長で夫方の顔をしている。赤ちゃんを見ながら、義父は容態はいいかなと私に聞いてくれた。
「お父ちゃんが生きていたら、喜んでくれはったやろうに」
続いて出たきた言葉に胸がつまった。義父より二周りも年下なのに、実父はすでにこの世の人ではなかった。

義父が帰ったあと、帝王切開をした彼女とお寿司を食べた。義父は気遣って二人前を持ってきてくれていたのである。息子の大事な嫁として可愛がってくれる義父に感謝の念は絶えなかった。
結婚を大反対したはずの義父だったが、結婚してからは実の娘のように可愛がってくれる。父親に早く死に別れた私を不憫に思ったのだろうか。



 

難病   随筆

 投稿者:翔子  投稿日:2008年 8月 2日(土)10時20分32秒
 


難病 翔子 2005年5月14日 12:29:34

 出産予定日が大分過ぎたのに親友の博美から連絡がこない。
予定日か一ヶ月過ぎた頃、電話を入れた。
「…………」
電話の向こうで、博美が黙り込んだ。私も何事かと気が気でない。
「翔子ちゃん……」
博美が泣き出した。出産は無事済んで自分は退院したが、赤ちゃんは県立和歌山医大に転院させられたという。難病で手術が必要だが、夫や義父との意見があわず孤立しているという。

まだ、子どもが出来ていなかった私は、翌日とるものもとりあえず、和歌山へ行った。駅まで迎えに来た博美の目は真っ赤だった。
「キョダイケッチョウショウ」という言葉が彼女の口から出てきた。彼女の車で医大病院へ向かう。

「手術をしても長生きは保障されない。手術に100万円必要やけど、手術してお腹一杯ミルクを飲ませてやりたいの」
「健ちゃんはどう言ってるの?」
「お義父さんは、いずれ死ぬんやったらお金がもったいないって。健ちゃんは生まれたばっかりの赤ちゃんに、この先死ぬんやったら、手術なんかして痛い目にあわせたくないって……」
博美は一言一言区切るように言う。

「どの理由も納得できるけど……」私は言葉を濁しながら、母親の気持ちと周囲の気持ちのずれをどうする事もできなかった。

医大に着くとちょうど赤ちゃんの診察だった。一緒に来てと言われて診察室にはいると、そこを通り越して別の部屋に案内された。
暖かいけれど、普通のスチールデスクの上にうすい布が敷かれ、赤ちゃんが裸で寝かされていた。
赤ちゃんは痩せて皺だらけで全身白く精気がなかった。私は正視できなかった。医師は人間を扱うのでなく、まるで物体を扱うような感じだった。

「実験台にされるんやって、健ちゃんが言ってる」
車の中で博美が言った言葉が思い出された。試験管やフラスコの並んでいるおおよそ診察室とは言えない部屋だった。赤ちゃんの容態を説明している医大の医師を私は少し反感をもって見つめていた。

ナースが来て赤ちゃんを別室に連れて行った。私達は診察室を出た。
「あんな裸のままで赤ちゃんをあちこち連れて回るなんて信じられない」
私が言うと、博美はうつむいてうなずいた。
「なんで、体あんなに白いものがいっぱいついているの?」
私が聞くと、博美は答えた。
「カンジダ菌なんだって。抵抗力がないから菌が繁殖しているって」
そのあと、私は言葉が出なかった。医療には詳しくない自分が何を言っても母親である博美を刺激するだけだと思った。

容態も、手術も難しい。母親の思いと父親・祖父の思い、かけはなれているようだが、赤ちゃんを思う気持ちに変わりはない。
腸がぜん動運動をしないから、胃から先に飲んだミルクはいかない。胃の横に人工肛門が作られていた。手術は首から直接心臓に栄養を送る手術だと言った。

博美は自分の貯金をはたいてでもそれをしてもらうと泣きながら私に訴えた。その手術はこれからの生存には、なんらの解決にもならない、そう思ったが口には出せなかった。産後の肥立ちもままならないような痩せた博美の体と神経質な目に私は戸惑っていた。

子どもが出来ない私を気遣って、博美は出産も知らせず控えめにしていてくれたのに、彼女の身の上に突然ふりかかった赤子の難病に私は神も仏もないのかと天に憤った。

和歌山から帰って一週間後、夜に博美が泣きながら電話をして来た。
赤ちゃんが亡くなった知らせだった。手術を決意したけれど、その手術を待たずに彼女は逝った。
無言で受話器を持っている私に、博美はずっと泣きながらあれこれ話してくれた。気が済むまで言ったらいいよ、私は心の中でつぶやいていた。


 

命  随筆

 投稿者:翔子  投稿日:2008年 8月 2日(土)10時18分43秒
 


命 翔子 2005年5月14日 12:26:43

 私達は長年子どもに恵まれなかった。
私の血液O型、夫A型、母親がO型で子どもがA型の場合、子どもに障害がおきる率が80%、だから着床しても子どもの都合で自然流産になることが多いと医師に言われた。もう少ししてから不妊治療しましょうと言われた。

30歳を越えたのでもう赤ちゃんは諦めて、子どものいない生活を考える事にした。手始めに車の免許を取りにいった。仮免も終わり筆記試験を受け、合否の判定を待っているときに、つわりが始まった。

免許は取れたが、流産を考え、大事をとって車には乗らなかった。だから私はペーパードライバー。10ヶ月間、つわりは酷かった。あんなに好きだった肉も魚もいっさい食べられない。お茶も飲む事ができず、苦いグレープフルーツ100%のジュースだけだった。
夫の帰ってくる頃には、黄色い胃液がでてくるほど、もどしていた。食べられないのに吐く。検診の時に医師に話すと、異物が体にはいった拒否反応ですと笑われた。

3月14日入院。
破水して36時間過ぎても生まれない。高年初産の域に入っていたので、子宮口が開かないという事だった。入院二日目の深夜、ナースが言った。
「羊水が混濁してきているので、このままでは赤ちゃんがあぶないです。帝王切開になるかもしれませんから、何も食べないでください。麻酔をかけると戻すので、水も飲まないでください」
陣痛促進剤が打たれた。急激な陣痛は来た。しかし出産の兆候がないまま、一時間ほどで陣痛はおさまってしまった。

私が分娩準備室にいる間に、うめきながら運ばれてきた産婦は3人、後からきたのに先に分娩室に運ばれて出産した。隣の部屋であわただしい医師やナースの動き。しばらくすると、元気な赤ちゃんの泣き声がする。お母さんのうれし泣きの声が聞こえてくる。ひとりでそれを聞きながら、私は不安に襲われていた。私の赤ちゃんはどうなるの……。

小刻みな陣痛がきてそれに耐えていると、明け方の6時ごろ、急激にお腹が痛くなりナースコールをする。ナースが飛んできて、すぐに私を分娩室に運んだ。内線でドクターを呼ぶ。
助産婦さんの掛け声と先生の声、するりと体から何かが抜けた。積年の便秘(笑)が終わったような感じあと、助産婦さんの声、そして赤ちゃんの泣き声。
「生まれましたよ、元気な女の赤ちゃんです」
ふわっと、生まれたばかりのあたたかい赤ちゃんが、私と臍の緒が繋がったままで、胸の上におかれた。感激で涙が溢れた。
……ありがとうございます……何度も、何度も、つぶやいた。

綺麗に洗われた赤ちゃんは保育器に入れられた。新生児室へ連れて行かれる時、「ほら、ママにごあいさつしなさい」とナースがそばに保育器を寄せてくれた。娘は保育器の中の温度バーをしっかりと握って大きな口をあけていた。まるでつばくろの雛のような赤い口腔だった。
「まあ、珍しい赤ちゃん、そんなところを握って……」
ナースが笑った。

3月16日午前6時25分、2820グラム。
……ママのところに来てくれてありがとう……
それから8時間、ナースに起こされるまで私は深い眠りについた。


 

瞳   随筆

 投稿者:翔子  投稿日:2008年 8月 2日(土)10時16分47秒
編集済
 


瞳 翔子 2005年5月14日 12:28:31

 瓜生山の中腹にあるバプテスト病院はキリスト教の病院である。
しかし、患者は信者である必要はない。私は、子どもの救急病院に指定されていたのでここを選んだ。血液型不適合などで万が一の場合、個人病院ならここへ運ばれてくる、それならば最初から入院していたほうがよいと考えたからである。

母子分離制度を取り入れていたバプテスト病院は、赤ちゃんは退院するまで新生児室に置かれる。授乳の時間になると、産婦は授乳室に集まり、ナースが連れてきて抱かせてくれる。

よその産院で赤ちゃんの取り違えなどもあったので、私は娘の特徴をしっかりと覚えるようにしていた。足には生年月日と○○ベビーと記されている。2820グラムと、体重も少ない私の赤ちゃんは、他の誰とも間違えようのない華奢な感じで色は白かった。授乳室に産婦は六人いたがどこの赤ちゃんよりも大人しかった。

二日目夕刻の授乳時、乳房を消毒して待っているのに、いつまでたっても赤ちゃんは連れられてこない。何かあったのかと安になる。
「翔子さん、こちらにいらしてください」
呼ばれていくと、ナースが赤ちゃんを抱いている。

もう一人のナースが、黄疸のレベル表示紙を瞳のところにあてがった。
「ほら、白い部分がこんなに黄疸が強いので、血液が頭の中で凝固しないように、光線療法にはいります。おかあさんは、母乳を搾乳機で搾って捨ててください。きちんとしぼらないと乳腺炎になりますからね」
まる一日間、保育器に入れられて光をあてられることになった。目は眼帯をし、水分は点滴で補充しますとのことだった。
酸素などで視力に影響はないだろうかと質問をした。大丈夫だと答えられたが、不安は高まる。

授乳室にもどり、張ってきた母乳をしぼる。涙が出てしかたがない。ナースが寄って来て言った。
「赤ちゃんもがんばっているんですから、お母さんもがんばりましょうね。泣いていたら体に悪いですよ」
うなずきながら、飲んでもらえない母乳を搾った。

他の新米ママは嬉しそうに赤ちゃんに声をかけながら授乳している。みんな二十代の若いお母さん。私は母乳をしぼってから、追われるような気分で自分のベッドにもどった。
広い八人部屋には私一人だけだった。あとの5人は隣の部屋である。三月の出産は少ないらしい。
窓から早春の京都をぼんやりと見つめていると、ナースが二人、隣のベッドメーキングにやってきた。
「翔子さん、お友達がきます。帝王切開の方だから、少し痛がるかもしれませんが、よろしくね」ナースの声は明るい。

しばらくして、担架で女性が運ばれてきた。寝たまま私と目があうと、会釈のつもりだろうか、頭を動かした。私もだまってうなずいた。
女性はまた眠りについたのか、すぐに寝息をたてた。私より年輩の女性のようだった。

不安な夜を一人過ごすのかと思っていたが、帝王切開をした女性であっても、同室に誰かいると思うと少しほっとした。彼女の寝息が私に安堵をあたえてくれるようだった。



 

毛虫の目

 投稿者:遊蛾射  投稿日:2008年 8月 2日(土)10時08分20秒
 


毛虫の目 投稿順 作者 投稿日
01 遊蛾射 2004年8月4日 05:07:59

 源氏蛍の名勝地のこの川の両岸は、春には桜の名勝地としても有名で、桜の後には蛍が市民を和ませてくれている。
 30年も前になるだろうか、20代の前半であった私は、春の荒らしが吹き荒れた3月の始めの真夜中、酒の酔いをほどきつつこの岸辺を歩いていて気が付いた。蛍の季節でもないのに、濡れたアスファルトの路面に無数に青白く光る小さな蛍の光。酒の酔いが幻想を見させたのかと目を凝らすと、それは点滅もせずに、それぞれのひと箇所にたむろしている。よくよく観るとそれは、春の荒らしで桜の木から振り落とされた無数の毛虫たちの目であった。いずれにしても驚きであり、一気に正気に戻されたのを覚えていると同時に、それは素晴らしい発見に思えた。そして、見渡すとそれは実に美しく幻想的でもあった。
 8月の初旬にそれを見ることが出来るとは思わなかったが、何事も幻想であってくれればとの期待から訪れた。何処にもそんな幻想などありはしないことは承知ではあったが。

 ここのところの商売の厳しさで、家庭を顧みなくなって数年が過ぎる。家にも帰ったり帰らなかったりで、帰ったとしても、未明の午前の数時間を朝まで睡眠を貪るだけであった。子供もいない42歳の女盛りの妻には、いつもすまないとは思ってはいても、決して口に出したことはない。妻もわかっていると思っていた。
 二月ほど前のことである。6月の妻の誕生日を急に思い出して話題にしたところ、誕生石のパールを、忙しくて構ってあげられない奥様への罪滅ぼしにと、お得意さんから勧められるままに購入し、
うんうんと、自己満足に浸って、喜ぶ妻の顔を想像しながらの早い帰宅となった。驚かそうとこっそりと我が家に侵入した私が耳にしたのは、妻の聞いたこともないような喘ぎ声であった。足音を殺して二階の寝室に忍び寄ると、聞くに堪えない妻の喘ぎ声と悦楽の顔と姿態がそこにあった。それは、わたしが見たことも聞いたこともない様であった。相手の男の顔も姿も確認することなく、その場を逃げ出してしまった。
 その足で馴染みのクラブに行き、馴染みのホステス・京子と関係を結んだのはその夜で、以来、途切れることなく今日までそれは続いた。今夜の京子はいつもと違っていた。バックの中から丁寧に和紙に包み込んだ注射器と、透明のビニール袋に入った小さな結晶状のものを取り出し、同じくその中に入れてあった先を尖らせたストローにその結晶をすくうと、注射器の中に入れ、ポンプを挿入させてミネラルウォーターを三分の一ほど吸い取った。その注射器を人差し指で器用にはじいて結晶を溶かすと「これ打ってやると気色ええんよ」と勧めた。躊躇していると、京子が先にそれを左手の静脈に打ち込んだ。丁寧に水を吸って吐いて繰り返し、きれいにした同じ注射器が私の静脈にも打ち込まれた。案ずることもなかった、ちょっとした違和感はすぐにわたしをなんともいえない世界に同調させてくれた。事はこれまでにない快感を生み出し、飽きることなく事は続けられた。
 これまで見せたことのない京子の「おうっおうっ」と、獣のような喘ぎ声と顔と姿態。あの妻のあの時の状況を思い出してしまっていた。その声を、顔を思いっきり両手で塞いでしまったのだ。ぐったりとなった京子をラブホテルに残して、今、こうしてこの川岸に佇んでいる。目が飛び出して死んだのか、失禁したのかは分からない。目を閉じたまま顔を、口を塞いで、ぐったりした彼女に横目もやらずに飛び出してきてしまったのだが、その死に様は想像に難くないのだ。



02 妙法院芳秀 2004年8月4日 20:49:07

京子は何でも良い、見えるものが欲しいと
懸命に焦点をあわせようとしていた。
幻覚でも何でも良い、確かに見えるものが欲しい。
京子のトロンとした虚ろな瞳孔は縋るように、
男の残像を追いかけていた。
 逃げないで・・・・・
こんな女にしたのは、あの男なんよ、あんたも知ってるやん
憎らしいとは思わへんけどね、うちが何もかも忘れたかっただけなんやし
気持ちええねん、ふわふわして、ふわーんとしてて・・・・
あんたに抱かれるだけで惚れてるなんて思わへんけど
うち、毎日、あんたが来てくれるの待っててん
あの男、悪やってんよ、うまい事言うて誑し込んで
うちの紐やもん、稼いでも稼いでも、みんな持って行きよるし
新玉来よったら、もう、うちなんか知らん顔やし
持って行くもん持って行くだけで抱いてもくれよらへん
そんなときやん、あんたが血走った目して隣りに座らはったん
うちなぁ、そんな男に憧れてたんや、血走ってるて生きてる証拠やん
うちら、気色ええだけでええねんし、おもろかったらそれだけでええねん
あの男なぁちんぽ大きいだけで能なしで悪知恵だけはよう働くねんよ
そやけど、あんたは違うかった、いつも優しくしてくれはったし
いつからやろ?あんたが感じきるまでしてあげたいって思うようになったんは
あんたのね、うちを見る目がそうさせたんやで
うちを陵辱する様な目してはってん、お前は抱かれるだけの女やんけって
うち、とっくにな、心なんて捨てててん
そやけど、うちな、あんたに笑顔が浮かぶ様になったときにな
感じてしもたんや、ほんでなもって感じさせてって思うようになってん
こんなに感じる女にしたのは、あんたなんよ、忘れんとってよ
責任とってや あんた
 何回見たんやろ?この壁、
前来た時の爪の痕、残ってるんやろか?
前来た時は、薄汚れた汚い壁やったのに
綺麗な壁になってしもて・・・・
目眩から舞い戻ってきた時のように
京子の目には爪も立てられない
固い淡い暖色系の壁が写っていた。
 逃げてんな、あんた、うちの前から・・・・・あたりまえやな
うち、あんたに抱かれて、ものすご感じてたし・・・・・・・・
あんた怖なったんやろ?
 あんなにな、感じられたんやし、うちな、もう止めるわ
あんた好きやし、好きになってしもたし、薬、もう止める
あんた、もう、自由なんやで、他の女さがしな
 みんな取り上げられてしもたし
アクリルのお皿が待ってはるけど、潮時や思てんねん
今度、ここ出る事出来たらな、一度だけでええし抱いてな
うち、ちっちゃい店出せるだけの小金は貯めてん
あんたが、今度のうちの紐やねん、て思てな、一生懸命貯めてんよ
あの日からやで、褒めたっていな、こんな壁なんにも言うてくれへん
うちな、ここきっと出たるし、まともになったる
うちをな、いつもの様にな、陵辱してくれてええねんで
今度はな、まともになって、あんたに、抱いて貰うねん。



03 遊蛾射 2004年8月5日 02:32:18

伸幸はふと気付いた。京子はなんの抵抗もしなかったのだろうか。自分の両腕はおろか、どこにも、京子が抗った痕跡がないのだ。川岸の、シャッターの閉まった喫茶店のほの暗い防犯灯で、自分の顔をジッポーのライターの側面に映しても、そこには傷はなかった。東の空が明るくなってきているのに、薬のせいもあるのか、自分のしたことに興奮しているのか、頭は冴えわたって眠気のかけらもない。ラブホテルに戻ろうか、それともこのまま自宅に帰ろうかと迷った。今の精神状態で自宅に戻れば、今度は本当に妻を殺してしまうのではないかとも思った。
 京子は目覚めた。目覚めたというよりは、気が付いたというべきなのか。悪夢であった。22歳の時から4年間もの間、京子を食いものにしてきた良治の夢。自分がそうなのか、良治がそうなのか、檻を前にしての独り言。良治は来年の春過ぎには刑を終える。今の伸幸との逢瀬もかなわぬこととなるに違いない。京子は30近く歳が離れた伸幸を本当に好きになっていた。
 思わず隣に寝ている筈の伸幸の手を掴もうとして空を切った。胸に顔を埋めて泣きたかった。
 頭をもたげた京子は、一時間前の様子を反芻した。あまりに大きな声で悦びをを表す自分の口を、伸幸に強く押さえつけられたのは覚えている。その後の事は、夢をみたことのみで記憶になかった。



04 妙法院芳秀 2004年8月6日 18:47:59

良治は中庭のベンチで玉蹴りをしている在監者仲間をぼんやりと見ていた。
俺もアホやけどお前らもっとアホや、その内やられるのに、調子に乗って、刑務官なんか儂等となんも変わらへん、そやけど、あの看守部長だけは始末に負えへんなぁ、なに考えてるんやろ?ここんとこ労務の賞与金減らされたのも増えてるし、口実つけて独居拘禁も増えてるなぁ、差し入れの督促か定年退職後の行き場確保の牽制か?それなら今度の面会の時に先輩に臭わしとかなあかんなと良治は足をぶらぶらさせていた。
 今回は恐喝傷害だけで済ませたし組織の企業体には踏み込ませなかったし、これで先輩にも貸しを作った事になる。思った以上に早く出所も出来る様だし出迎えに来る顔ぶれで俺の今後の身の振り方も考えなあかんと良治は自分に言い聞かせていた。定例通りの直立不動の号令迄のささやかな良治の時間でもあった。

 京子は、満ち足りた気怠さの中で、良治の出所時期が気になり始めていた。
入れ替わりに何か事を起こして厄介になれば済む事なのだけれど、出来れば玲子に頼んで娑婆で治療したいとも考えていた。玲子は良治の先輩に当たる男の女という事にはなっているのだけども実体は定かではない。ただ京子に対しては注射器を取り上げて声を張り上げて叱責する事も度々あったし、何くれとなく相談には乗っていた。伸幸がカウンターの隅に腰掛ける時もカウンターの中にいる玲子は隣に座る様に目配せするのが慣習になっていた。
良治は、外科医の大迫とも面識があったし玲子の男と引き合わせをしていたのだがその後の繋がりについては何も知らされていなかった。
良治の役割は単純に縛りをいれ縛りを利用して資金源にする程度の事だった。
金が循環し出金に歯止めが効かなくなった時こそ玲子の男の出番であり闇の世界の扉が重く開く時でもあった。



05 遊蛾射 2004年8月7日 03:29:47

シャブ・スピード、いずれも覚醒剤の呼び名である。化学名をフェニル・アミノ・プロパンといい、市販薬の中にもベンゼリンという商品名で混入されている。暴力団にとっては貴重な資金源であり、女を縛るのにも重宝される。最近は第三次覚醒剤期といわれて、そのマスコミの扱いも手伝い、取り締まりが厳しく、仕入れ価格の上昇のみか、なかなかこれまでのルートでは物そのものが手に入りにくくなってきた。針間は玲子に紹介された大迫という大病院の外科部長にモルヒネや向精神剤を廻させようと企んでいる。良治は知らないが、針間は企業舎弟で高級外車のバイヤーであり、針間に比べれば良治はチンピラ以下であった。
 「京子は打たんと辛抱しとるんかい」針間の問いかけにトロンとした目で玲子は頷いた。「そうか、一月近く経つんやなあ、丁度、シャブを入れとうてたまらん頃やろ」「あんた、京子と大迫はんをどない見合わせますねん」。笑いながら針間は「わしや、わしや」
と自分を指さした。「大迫のじいさんなあ、最近じゃあ少々のことではものがいうことききよらへんらしい、そいでわしが、冗談めかして、わしと大迫はんと二人で一人ちゅうのはどないですやろ言うたらな、あのクソじじい、ほんまにそないなことでけるんかと真顔で乗ってきよった」「ほな、あんさんが直接連れて行きなはるん」不審気に針間の顔を覗き込む玲子に「そや、わしが連れて行く。大迫のじっさんにもシャブ打って止め刺したらなあかんしな、一石二鳥や。あとはモルヒネでも向精神剤でも、なんでもござれやで」と、ニヤニヤと顔を崩した。「一石二鳥って、京子のことかいな」、玲子が気色ばると、針間は鋭い目で玲子を睨み、それ以上には物を言わさなかった。



06 遊蛾射 2004年8月8日 01:22:16

京子は土曜日の午後から一昼夜解放してもらえなかった。しかし、決してそれが厭だというのではない。ただ、淫楽の淵があるとしたら、おそらくその瀬戸際でのゲームだといつも終わった後で思う。針間とのこうしたことは、今日に始まったことではなく、これまでもしばしばのことであるし、針間の巧みさにいつもその淫楽の淵まで追いやられ、終わった後で、薬が切れるまではもう一度という気持ちが強く残った。玲子にはすまないと思っているが、これが良治との確実な縁切りに繋がる。店も持たせてもらえる。ただ、今後も、針間の利害関係者を交えたこうしたことは続くであろうし、針間からは決して逃げることはできないこともわかっている。

 どうして針間が自分の家でバスローブをまとっているのか、妻と一緒のその姿に一瞬唖然として、ああ、妻の相手がこの自動車屋だったのかと合点がいった。「京子とのことは、奥さんみいーな知ってますで」、京子と針間が今日の昼過ぎまで、大迫を交えて一緒だったことを知らされ、伸幸には全てが見えたような気がした。
 伸幸は先代の社長に見込まれ、倉庫会社の社長令嬢の婿入りとなった。長年の実績が製薬会社からベンゼリンの保管を委託され、先代社長が「これなあ、戦時中は特攻隊や兵隊に使われて悲劇を生んだ悲しい実績のもんや、まさに使えば自爆・破滅の薬やなあ。戦後はその軍事物資の流失でヒロポンちゅう名前で、法規制されるまで、半ば公然と使用されてな、それこそ色んな悲劇を生みよった。きっちりやで、きっちり管理せなならん大きな責任がおます。」と、同じ事を何回も、それこそ耳にタコができるまで聞かされ、その言葉の抑揚までが、今、蘇って来る。
 「六井はん、ほな奥さんと三人で楽しみまひょか」、伸幸はゼンマイ仕掛けの人形のように、二人の前を寝室へと向かった。
 血管から体中に廻る薬の確かさが、伸幸をヤケクソにさせた。妻のどこにこんな淫乱さが潜んでいたのか、どうでもよかった妻に夢中にさせていくこの薬が怖い。本当に怖いと思った。半ば朦朧とする意識の中での、自分のこの行為を見つめている沢山の目があった。「ああ、あの青白い毛虫の目や・・・」、その目はやがて一つとなり、先代社長の目が「自爆や破滅や」と襲いかかる。そのそばで、針間が妻の胸を愛撫しながら呟いた。「三代目はわしや」。

(関係法規のもとで、ベンゼリンは製薬会社がその生産量・使用量等、厳しき管理・報告されており、倉庫会社などで保管などということはありませんので、念のため申し添えておきます


                           -----完-----


 

真夏のサンダル リレー小説

 投稿者:   投稿日:2008年 8月 2日(土)09時55分33秒
編集済
 

真夏のサンダル 投稿順 作者 投稿日

01 あき竹城 2004年8月12日 00:05:26

落ち着きの無い性格は、たぶん父親譲りだ。それは、大股で歩く男勝りみたいなところから、間違いないだろう。何度も直そうとしたんだけど、どうしても思うだけで実行できないでいる。自分で自分を許せない。血というものは、かくも人を結びつける重要な糸のようだ。
 その日、あたしは本屋に向かっていた。毎月購読している雑誌の発売日だったのだ。公園を斜めに抜けると本屋には近い。当然あたしはそのコースをとる。太陽の光が降り注ぐ真夏の公園には、ベンチに日光浴をしている変わり者を除いて誰もいなかった。あたしは、一気に公園を歩き抜けようとして、出口までサンダルを乱暴に鳴らした。
 そこで、私の視界が揺らいだ。引っくり返ってしまったのだ。落ち着きの無い性格が出てしまった。父親を少しだけ恨む。片一方のサンダルは、先まで飛んで行って逆さまに私と同じように引っくり返っている。あたしは、そこで彼に出会ったのだ。飛んでいったサンダルを拾ってくれた彼は、優しい顔で言ったのだ。
 「明日は、雨みたいですね」



02 櫻子 2004年8月12日 09:47:15

 彼の冗談に、あたしは痛みをこらえながら微笑み返した。
お尻が痛い。ずきんずきんと血液がそこへ集中していくように感じる。なんだか立てなくておろおろしていると、彼が手を差し伸べてくれた。
「立てますか? ほら、僕に掴まってごらん」
彼の腕を抱えて、あたしはゆっくりと立ち上がった。心の中で思わず呟いた。ダイエットしていて良かった、2キロ痩せたばたり……。
彼はあたしに「ごめん」と言いながら、スカートの砂をはらってくれた。
「頭や顔を打たなくてよかったよね」
笑いながらあたしの目を覗き込む。うん、これ以上恥かしいのは嫌だものとまた、あたしは心の中で呟く。
彼はゆっくりとあたしを抱えて、公園の日陰のベンチに連れて行ってくれた。


03 妙法院芳秀 2004年7月28日 11:14:29

「痛いよう~」思わず口走ってしまった。
彼の呼吸がひくひくしているのは笑っているせいだと思うと気恥ずかしくってわたしは殊更に頬が上気していくのを感じていた。
「なにを慌てていたの?明日は雨だから、急いでいたんだよね?」
笑い声がわたしをやんわりと包んでくれている様だった。
「本を買いに行くの」
「どんな本?」
「あっ!忘れちゃったぁ~」
はじめて出逢った人なのに、素っ頓狂な声を上げてしまったわたしがとても恥ずかしくて、立ち上がって横を向こうとしたのだけど、ベンチのお尻の位置を少しずらす程度しか出来なかった。
「ははは、著者名は?」



04 あき竹城  2004年8月13日 11:29:29

そもそも、あたしは男の人と話をするのが得意ではない。あまり、自信がないのだ。だから、たまに頓珍漢なことを言ってしまって、相手を呆れさせる。あたしのいつものパターンだ。そんな訳で、長いお付き合いの彼氏が出来ないでいる。
 落ち着いて彼を見ると、どうやら私と同じ歳ぐらいの様だ。ひょっとすると年下かもしれない。なんとなく、あたしは気が楽になった。
「ごめん、ごめん、雑誌だった。何人も著者がいる。毎月欠かさず読んでいるの」
「そうなの、売り切れ寸前で急いでいたんだね、時間大丈夫?」
彼は少し心配そうに私を覗き込んだ。
「今日発売なの。急ぐ必要なんてないのだけれど、性格なのね」
 そう言った私は、彼が拾ってくれた冗談みたいなピンク色のサンダルに目を落とす。痛みは、少しずつ退いていくようだ。二人を一寸だけからかう様に、日陰のベンチに涼しい風が吹いた。とても気持ちのいい風。あたしは、そっと深呼吸した。
「お礼を言うのを忘れてました。どうもありがとうございました」
 あたしは、少し畏まって、少し照れ笑いする。
「いえ、転び方がなかなか様になっていましたよ」
 彼も同じように、少し困って頭を掻いた。



05 櫻子 2004年8月13日 13:02:08

彼の横に座って、あたしはほんわかとした気分にひたっていた。
こんな事は長い間感じた事がなかった。黙っていても幸せな気分って、こんなふうなことなんだ。そう思うと胸の中がざわめいてきて熱い。
そっと目の端で彼の横顔を見ると、男なのに睫毛が長い。彼は木立の向うの芝生を眺めていた。
芝生の上には母と子が二人、真っ白な帽子をかぶって追いかけっこをしていた。
「こんなに暑いのに、元気なお母さんと子供ね」
あたしが呟くと、彼は振り返って私を見た。その目の中にあたしの顔が映るのが見えて、心臓がどきどきと大きい音をたてた。
「いいね、微笑ましい。僕達もきっとあんな時があったんだよね」
彼のあたたかい口調が、私の心を余計にざわつかせた。
「また、逢えるかな?」
彼の言葉に、あたしは思わず「うん」と答えて、バッグの中から携帯電話を取り出した。こんなに唐突に携帯電話の番号を男性に教える事になるなんて、思いも寄らない事だった。
彼も、即座に携帯電話を取り出した。



06 ルナール 2004年8月17日 00:16:04

 翌日から、あたしは彼に電話をすることが楽しみになった。
ピンクのサンダルはどっちを向いていたのだろうか、そうだ確か彼は明日は雨ですよねって、言ったっけ。お天気は、サンダルの占い(?)の通りにはならなかったし、あたしの毎日は明るく晴れの日ばかりだった。
 買った雑誌を読む事も無く、あたしは、教えてもらった彼の名前を真っ白なノートに書き綴っていた。あたしの彼、あたしの晋(しん)……。
あたしの彼って、書きながら、私はそれが願望に過ぎない事を感じていた。あんな優しい人だからきっと彼女の一人や二人はいるに違いないと、心が疼いた。
「お元気?」
 とりとめのない電話をしながら、嫌われやしないかと、心の中でびくびくしているあたしだった。




07 あき竹城 2004年8月17日 19:28:05

それでも、電話は意外に彼の方からよくくれた。彼の優しさかもしれない。電波に乗った、信号化された振動音の彼の声。でも、あたしにはちっとも違和感はない。いや、そのような事を考えている余裕など無いと言ったほうがいいだろう。
「元気だよ。君はその後、転んでないかい」
 もちろん彼の冗談だった。そんな雰囲気が意識しなくても分かり合えるほど、あたしたちはすでに沢山の言葉を使っていた。
「君から、電話って珍しいね。明日の逢う予定、何かあったの?」
 特に用件なんて無い。あたしはそれとなく彼の、晋の他の女(ひと)との交際の影を、会話の中に見つけようとしていた。なんて姑息なの、あたし。電話を切った後、自己嫌悪に陥る。
 あの日から、あたしは、あたしで無くなったのかもしれない。脱皮するように、新しい自分に生まれ変わっていく。今度こそ、落ち着きのない自分と『さよなら』出来るかもしれないのだ。焦ってはいけない。
 明日はもちろん、ピンクのサンダルを履いていくつもりだ。天気予報は晴れだった。



08 妙法院芳秀 2004年8月21日 18:42:07

「晋 あの人のサンダル何色だったの?」
「うん ピンク色だったよ、あしたの天気はなぁ~んだ?ってするのがね、
大好きだったのさ、お天気だったらね、公園に連れて行ってもらえるからね
縁側にね、腰掛けて、足をぶらぶらさせて・・・・・・」
 あたしは沓脱石にふたつ並んだピンクのサンダルを思っていました。
和風の庭には少し場違いではあるけれどと晋の横顔を覗き込みました。
長い睫毛が一瞬曇ったのを感じたのと目尻を押さえる仕草が不自然だったので、
あたしは、どきっとして言葉を失ってしまいました。
あたしは、その時、晋をそっと抱きしめてあげたいと思ったのです。



09 あき竹城 2004年8月26日 11:59:05

今日は、ちょっと風が強かった。髪が風に靡いて額を開ける。晋の睫も少しだけ震えたような気がした。真夏なのに、ちっとも暑くなかった。こう言う日は、なんだか心が軽くなる。自分に正直になれる。「こんな日もあるんだなぁ」と心の中で、あたしは呟いた。
 晋は、あたしの真横にいた。初めて出会った公園だったこともあって、あたしは素直に言葉が出た。
「急だけど、訊いていい?」
 晋は、あたしのほうに眩しそうに振り返った。そして、その瞳に「いいよ」と言う意思表示をして、あたしを見つめた。
「晋は、特別な人いるの?」
 胸はドキドキだったけど、言葉は不思議なぐらい何の抵抗もなく滑るようにあたしの口を出た。あたしは、少し諦めていたのかもしれない。晋の口からどんな言葉が飛び出しても、全ては御破算だと。
 晋は、口の端を両方に引っ張って、とても素直に微笑んだ。
「いるよ」
 晋の言葉に、あたしはピンクのサンダルに目線を落とした。「やっぱりね、そうだよね」自分で自分を慰める。でも、あからさまな表情は晋に悟られないように、あたしは努力したつもりだ。
「優と言う人」
 あたしの名前だった。



10-完 あき竹城 2004年8月31日 23:14:30

色は、反転した。白は黒に、黒は白に。フィルムのネガのように。そして、時間が進んだ。
 忙しないコピー機の音。少し癇に障る電話の呼び出し音。
「佐々木君」
 後ろの方で、課長が私に声をかけた。
「この書類、すまないけどデータをまとめて整理しておいてくれないか」
「分かりました」
 課長から書類を受け取った私は、自分の机に戻った。
 自分の机からは、落ちてきそうな夏の空が近くに見えた。自分では大変気に入っている場所だった。日が当たったりするので、敬遠する人もいるのだが、私はこの場所が好きだった。
 晋とはあれから、人並み以上の青春を送る事が出来た。とても充実して、すばらしい時だったと今でも私は思っている。私は、あの日から変わったのだ。
 オフィスビルから見下ろす街の中に、どれ位の恋や愛が漂っているのだろう。そして、それらは晋と私のように、美しく輝いて成就するだろうか。もし、自信が無くて、背中を丸めている女の子がいたら、私は肩を叩いて教えてあげたいのだ。簡単だよって。
「胸を張って、サンダルを履いて、大股で闊歩すればいいの」
 私は、自分でも自信が無くなった時はそうするつもりだ。勿論、色はピンクに決まっている。



                         -----完------
 

  

 投稿者:    投稿日:2008年 8月 2日(土)09時53分13秒
編集済
   

樹海   リレー小説

 投稿者:    投稿日:2008年 8月 2日(土)09時52分8秒
編集済
 

樹海-01 妙法院芳秀 投稿日:2004年7月28日 11:02:28

ただの林ではないなと感じただけで踏み込んでしまった樹海は、湿っぽく冷気を帯びていた。絡み合って迫り上がる樹根の瘤を避けるように飛び足して入り込むと、ぽっかりと招き入れるように口を開けた、洞穴が待っていた。洞の唇は樹根の窪みを覆う様に苔むしていて、洞穴を斜めに遮って伸びている割れ枝には梳き髪の塊がへばり付いていた。ひゅーっと鼓膜を刺激するものがあって振り返ると、確かに人影が消えた気配がする。男は素知らぬ顔をして汗ばんだ青臭さを探し出してその方向に眼球だけをふり向けた。背中に人の気配だけを感じながら覗き込んだ洞穴の中には、捲れた着衣と両脚と思われるものが突きだしていた。捲れた苔の側面はまだ精気が残っていて、動きがあった後、それ程時が経過しているとは思えなかった。
"ここは、わたしのお人形のお墓なの、来てくれたのね、あなた・・・・・・"
背後に男は間違いもなく女の体温を感じていたし、その声は間違いなく男の背中に投げかけられたものであった。静寂の中に近づく踏み足の微かな揺れのみが鮮明に浮かび上がって、右足が上がって着地し近づくのを感じた。


樹海-02 あき竹城 2004年7月28日 11:10:04

 『なぜこのような場所に足を踏み入れてしまったのだろう』
 男は冷気の中で冷や汗をかく。背中には、女の体温を感じつつ、冷たいものが流れた。男は愚者の選択をしてしまった事を、今更ながら後悔する。ただ、五感だけは猛烈な勢いで、身体の奥から指の先まで、敏感なアンテナのように信号を捉えようと活性化している。
 落ち着き払った呼吸のように、女はゆっくり足を運ばせ、確実に男に近づいてくるのが分かる。今にもその冷たい手が、男の肩に置かれるのではないかと思った。そして、この樹海の中の老木に、溶け込んでしまうような錯覚を覚える。体内の鼓動と代謝が、近づく女の合わせ鏡となって、男の呼吸を妨げた。そして、見えない女を「見ろ」と促す。湿った土から気化し、透過した冷気が囁く“怪しの糸の魯鈍なマリオネット”・・・男のことだろうか。
“ほんとうに、よく来てくれたわ、あなた・・・・・・”
 もう一度、男は振り返る。しかし、視線の先には樹海が時を止めて、静かなその冷気を漂わせ、厳かに君臨しているだけだった。洞穴に目を戻し、男は女を振り払うように足を一歩踏み出した。


樹海-03 櫻子 2004年7月28日 11:14:29

背中に女の息遣いを感じながら、男は苔に覆われた洞穴へ足を踏み入れた。捲れた着衣から突き出た2本の足は、半ば蝋のようであった。華奢な足の五本の指には赤いペディキュア、……そして左足の親指の股にぽつんと黒子がひとつ。
見慣れた黒子に男は思わず声をあげた。
「加奈……」
あとは、言葉にはならなかった。
足をかき抱こうとした瞬間、ぬめった苔が揺らぎ、男と足はそのままの姿勢で、奈落の底へ落ちて行った。
『あなた、あなたなのね……』
女の囁くような声が、落ちてゆく男に覆い被さるようについてくる。


「妊娠したの……」
カップのコーヒーをかきまぜながら、加奈は俯いたまま呟いた。男は黙って、スプーンが描くミルクの白い渦を見ていた。
いつまでたっても男が返事をしないので、女は男を見上げた。
「11月15日が予定日です」
その声は低く抑揚がなかった。一つの命の誕生を喜ぶべき背景が一つも無い事に男の胸は痛んだ。
「私達に始まりはないのね……」
それは、もう終ったのねという言葉と、寸分違わない響きを持っていた。
男は自分のカップを口元に運び、静かにコーヒーを啜った。


樹海-04 ソロン 2004年7月28日 11:22:37

「・・・・・あぁ。」
男は静かに言った。
「・・・・・・」
2人の間にしばらく沈黙が流れた・・・・・・。


樹海-04-補足 妙法院芳秀 2004年7月28日 11:23:43

落下する闇の中で男は浮遊している感覚を感じていた。
ゆっくり手を伸ばし加奈を待ち受けるように空を掴み飛翔し
ただ行き場を制御出来ないで急降下してくる加奈の硬直化した体を
受け止めようとしていた。
「加奈」が男の体に覆い被さって唇を震わせた時、男は目覚めた。
呼吸が止まっているのに加奈は・・・・。
女が弄んだ、ただの人形?いやそうではない、この女の分身?
いやそうでもない、女が捨てたかった汚泥の部分だった違いない。
そんな事を踏襲しながら待ち合わせ場所に
引き寄せられる様に歩をすすめていた。
だから今女の前に座ってスプーンが描く白濁の渦を見ている俺が居るんだ。
男の脳裏に堕胎の文字が浮かんだ。
誰の子供か判ったものじゃないな、ありきたりの言葉をつないでいた。
「俺とお前が共に生活をはじめて何か生まれると思う?」
男は重苦しく口を開いた。
「生まれてくるとしたら憎しみかしら?」
「どうして?」
「加奈もそうだったでしょ?あの子はいつもあなたを呼んでいた」
「あの子は綺麗、あなたが綺麗にした」
「あの子は誰にも抱かれる事はしなかった、ただ手招きして舞うだけ」
「で、お前はどうなの?」
「うふふ わたし?あなたが思っているだけの女、ただの女」
「ただ、あなたに溺れていたいだけの女・・・・・」
男は、女の闇の中の洞穴を見据えていた。


樹海-05 櫻子 2004年7月28日 11:24:52

加奈にとって、あの子の存在もお腹の子供も、どうでもいいことだった。
大事なのは男の心だった。男の心が自分にあるのかどうか、その確信を得るための、時の積み重ねだった。
しかし、どんなに時間を共有しても、加奈の心は満足を得られなかった。
いつも、だれか他のおんなの影が男の背中から、こちらを見ていた。
「愛される事は、肉の関係ではないわ……」
しんみりと加奈は言った。それは男に言ったのではなく、自分自身に言い聞かせるようだった。
「こんな、不毛なお話はやめましょう」
言い出したのは私なのに、と言いかけて加奈は口をつぐんだ。
片方の目頭からつーっと、涙が一筋落ちた。それは真っ白な加奈のスカートに灰色の沁みを作ってじわっと広がった。


樹海-06 あき竹城 2004年7月28日 11:26:15

男は、加奈を見る。見るから存在するのか、見なければ霧なのか。考えなければいい。考えなければ何も存在しないのだ。産むのか、堕ろすのか。どうやら、問題はそこには無いようだ。
 それにしても、男は何者なのだろうか。どちらにしても、誰かを幸福に出来る、そのようなタイプではない。顔の頬が削げてシャープな印象を受ける。どう見ても、普通の社会人ではないのだ。
 ある日、男は深夜の飲み屋街の裏通りを、背中を丸めて歩いていた。明らかに人目を避けて、自分の存在を消している。
 喧騒から離れている、寂れた雑居ビルの裏手に男は回りこむ。地下に通じる階段があった。男は、滑るように階段を降りていく。降りきったところに錆びた鉄扉があり、男は躊躇無くその扉を開けた。悪魔の悲鳴のような軋いだ音を立てて、扉は重く開いた。倉庫のようなその地下室には、裸電燈が空ろに灯っていた。そして、雑然とカウンターや棚が置かれた室内に妖しげな影を作っていた。


樹海-07 あき竹城 2004年7月28日 11:27:33

「ここなの……」
女のか細い声のするほうに、男は進んでいった。声はカウンターの向こう側から聞こえて来た。
どうしてこんな場所にと男はいぶかりながら、男はそろりと近寄っていった。女は蹲っていた。肩が震えている。
薄暗い明りの下で、女の髪が生きているように動いていた。それはまぎれもなく男が愛した黒い真っ直ぐな髪だった。
「こんな所で、どうしたんだ……」
男が声をかけた。女は返事をしない。返事をするかわりに、真っ赤なマニキュアを塗った爪で、黒髪の頭を抱え込んだ。
男は黙ってつったったまま、女を見おろしていた。



樹海-08 妙法院芳秀 2004年7月28日 11:29:00

女の中に加奈が居る
加奈の中に女が棲んでいた、一体どっちなのだ?
真っ赤なマニキュアがふて腐れた様に、どっちでも良いのよと
黒髪をゆっくり弄んでいた。
この黒髪に手を触れてはならない、男はそう思っていた。
相反する慟哭の中で俺を翻弄する女
裸電球の下のタイプライターのトリガーボタンは埃を被っていて
インクリボン越しに叩きつけられた文字列は
その文字列で止まっていた。
このタイプライターのバケットはスライドするのだろうか?
ピックアップは正常に動作するのだろうか?
蹲っている女の震える肩に手を添えたら
俺は俺の過去に戻ってしまうのかも知れない。
「ここを出れば喧騒の中に戻れるよ」
「雑踏の中では加奈でいる必要もないんだよ」
男は、ファインダーの中の文字に目を落としていた。



樹海-09 あき竹城 2004年7月28日 11:30:22

かび臭い地下室の中で、どれ程の時を無駄にしただろう、男は口を開く。
 「どうして、ここを知っている?」
 バリトンの、落ち着き払った静かな声だった。だが、女は脅える小動物のように、蹲ったまま震えているだけだった。どんなに両手を拡げて愛撫してやろうと叫んでも、警戒心と戸惑いの姿勢で敏感に体勢を崩さない仔猫のように、今は男を簡単に受け入れそうにはない。プロトコルを懸命に繋ごうと、焦れば焦るほど顕在からは遠ざかる。「隷属するな、阿るな。」男は心の中で反芻する。そして、双翼を拡げて威嚇する猛禽類のように、壁を造る。
 女から離れた男は、棚の方に足を向けた。棚の奥からZEROのアタッシュケースを引き出す。迷わず番号を合わせた男は、ケースを開けた。
 「加奈と言う女(ひと)・・・・・・」
 突然の女の言葉に、男は振り向く。
 「お前、加奈を知っているのか」
 女の瞳の中で、別の女が萌芽しているのを、男は確かに見届けた。



樹海-10 妙法院芳秀 2004年7月29日 23:03:21

「加奈はもういない、お前がいればいい・・・・」
女は真っ赤なマニキュアを黒髪から胸元に移動させていた。
立ち上がって精気を取り戻した女は
襟元のボタンをひとつ外して男を見ていた。
かびくさい地下室の澱んだ空気の中で
喧騒の中に飛び出した男と女の影を引きずり出していた。
「明日動くよ いいな?」女は無言で頷いた。
「あいつの歪んだ顔が見たいんだ」
「策には奢りがあるからね、隙間も生まれる」
「ゆっくりとね、あいつも夕日に沈んで行ってもらう」
「あいつには、雑居ビルの地下室は似合わない」
もう一つ女は襟元のボタンを外した。
赤いマニキュアが舐める様に女のラインを這っていた。
「わたしの中にいて・・・・・」


樹海-11 さいど 2004年7月31日 11:01:07

 素懐の往生を目指すように、二人は朧な会話を繋ぐ。それは、裸電燈で出来た冷たく薄い影のように、とても希薄なものだ。地下室の中で二人の影だけが細長く伸びて、マリオネットのように彼らの動きに同調して、滑稽に動く。影と実態、どちらが本物なのだろうか。ひょっとしたら、マリオネットは実態の方かもしれない。妖しい影が、「こう動け」と、実態を操る。男は苦笑いした。だが、男の心は影よりも薄く冷たかった。
 「お前に、これを預けておこう、念のためだ」
 男はZEROのケースの中から、小型のリボルバーと弾丸のパッケージを取り出し、埃を被ったカウンターに置いた。ガンオイルの残酷な香りが漂い、二人の神経を刺激する。
 男はシリンダーをスイングアウトさせて、弾丸が入っていないのを確認すると元に戻し、グリップを先にして女に向ける。
 「握ってみろ」
 女は少し脅えたように頷き、静かにステンレス製の銃を右手に取った。
 「38口径にバレルが短いから、それほど衝撃は無い。だが、映画みたいにバンバン撃つな、しっかりグリップを握って崩さないように、左手でハンマーを起こしてシングルで撃て」
 「分かったわ」
 女は静かに言う。けれど、女は撃たないだろう。男にはそれは分かっていた。だが、別の女は分からない。瞳の中に居る女を、男は知らないのだ。
 女を引き寄せ唇を奪った男は言葉を足した。
 「よく狙って、トリガーはゆっくり引け」
 とても、低い声だった。どちらの女に言ったのだろうか。
 踵を返すように、カウンターのアタッシュケースを乱暴に閉めた男は、そのままケースを持ち空隙を鉄扉の方に向かった。そして元のバリトンの声で女に言った。
 「お前、加奈を知っているのか」
 そう言葉を残し、男は鉄扉の向こうに霧のように消えた。閉まっていく扉が、悲鳴を上げて男を見送る。一人地下室に立つ女には、二つの影が男と女を嘲笑うように並び、一つの影は瓦解をもう一つの影に、さかんに鼓吹していた。


 「私達に、始まりは無いのね……」
 加奈は、珈琲を啜る男にもう一度言った。



樹海-12 完 妙法院芳秀 2004年8月3日 16:13:29

雑踏の中に男はいた。
窪んだZEROの文字のアタッシュケースが男の左指に垂れていた。
「ZERO」それは男の象徴でもあった。
男はサブウェイの群像の中に居た。
アナウンスだけが流れ走行音をサウンドに車内は寡黙そのものだった。
もの憂い無表情の中で吊革から手を離し減速する軌道に逆らって
少し体を傾斜させ停車して開く予定のドアの前に立っていた。
ドアが開く、無表情に押し出されながら改札を通り抜け
足早に階段を駆け上がると夕日に陰陽を抱くビル街だった。
薄暗く黴くさい地下室の一室でもなく欲望の蠢く動の世界でもあった。
男は「ZERO」刻印されたアタッシュケースになっていた。
蘇るメモリーの一文字ずつを思い起こしていた。
「発注が止まりました」
「操業が停止するまで何日あるんだ?」
「未回収残高はいくらあるんだ?」
「未払金はいくら?」
「給与その他優先支払総額を直ちに報告してくれるか?」
「出来れば君だけは、この社に留まっていてほしい」
「・・・・・・・・・・・」
屈服して傘下に入るしか無いですねと執拗に繰り返す
尾田の声が薄笑いに変わっていた。
増産に増産を重ね膨張していく設備と人員と借入金
そして集中受注へ転換
そして発注停止と操業停止
きちんとネクタイを締めた紳士が要所要所に配置され
整然と事は進んでいた。
男の一室の構成部品は、全て雑居ビルの地下室に運び込まれた。
次の文字を待つ和文タイプライターもその中に紛れ込んでいた。
樹海の洞穴の中に吸い込まれる様に急降下する男の肢体と共に
蘇る雑踏の中の精気と化して削げた頬を持った男は立ち上がった。
2週間後には何事もなく操業開始していたジュノン社を影として
男は大井物産の窓口に立っていた。
「尾田専務さんにお逢いしたいのですが・・・・」
「少々お待ち下さいませ」
ZEROの文字のアタッシュケースが静かに躍りエレベータに消えた。
専務室のドアが開かれ窓越しに背を向けていた白髪交じりの専務は
鷹揚に重い腰を上げた。
「どうぞ・・・・・・・・・・」
じんわりと専務には生き延びて行って貰う、息の根は止めたりはしない、
男は心の中で呟いてた。
膝の上のZEROアタッシュが口を開けて取り出された資料が
ディスクの上に置かれた。
「これが尾田さんとの始まりでしたよね?」
「・・・・・・・・・・・」
尾田専務の左目尻が引きつりはじめていた。
「加奈さんはお元気でしたか?」
「・・・・・・・・・・・」
「これをお渡しするだけの役割ですので、これにて・・・・」
ゆっくり立ち上がり静かに頭を垂れ男は無表情に宙をよぎった。
ZEROアタッシュは口を閉じ男の左手にぶら下がって横方向に動いた。
大井物産の回転ドアーを抜け出した数時間後、
尾田物産の株価は反発する事もなく暴落を続けていた。
「これで良いんだね?美沙」

               --------完--------



 

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